孤島のしゃぼん玉

夕日ゆうや

スペースコロニー

 さらさらと手のひらから零れ落ちる砂。

 石英の多い綺麗な砂浜。

 歩けばぎゅぎゅっと音を鳴らす鳴り砂の産地。

 この無人島に到達して何日が経ったのだろう。

 座礁した船からは絶えず軽油を漏らしている。

 火がつくと爆発する――。

 そう言われて俺たちは近づかなかった。

 あの船の中には非常食も、連絡手段もあるかもしれない。

 でも船長が近づくな、という。

 危険なのは分かっている。

 ただ、この砂浜でいたずらに時間を浪費しているのには耐えられなかった。

 スペースコロニー131〝バエル〟。

 ここは孤島のコロニーだ。

 シリンダー状の回転する巨大な構造物。回転することにより疑似重力を生み出している。

 そのコロニーの中にある、さらなる孤島。

 大型のかがみとソーラーパネル。それらがまばゆい光をもたらす。

 そんな中、小さな子どもが船からあるものを取り出してきたらしい。

 シャボン玉がふわふわと浮かぶ。

 孤島のシャボン玉が。

 このスペースコロニーはすでにみんなから見捨てられた孤島。

 人類が増えすぎて地球から巣立つことになった世界で、俺たちは生きている。

 ここは時期に農業用プラントになるらしい。

 俺たちのコロニーは廃棄寸前だ。


 もう孤立するのは嫌だ。

 ふわふわと浮かぶシャボン玉。

 はかない夢のあと。

 シャボン玉はいずれ弾けて消えていく。

 みんな消えていく。

 いつの間にかいなくなった人を背に感じ、俺は砂浜でじっとしている。

 俺も消えるのだろうか?

 ここは冷たい。寒い。

 宇宙に見捨てられたのだ。

 地球にも……。

 世界に見捨てられたのだ。



――――――

あとがき


 自主企画ということでちょっとチャレンジしてみたのですが、内容が似てしまうので、自分なりに工夫してみましたが、なんだかおかしな方向に。難しいですね。

 バッドエンドみたいになりました。

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孤島のしゃぼん玉 夕日ゆうや @PT03wing

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