キッズ

白川津 中々

 目が覚めて現実が変わっているなどといった事はなく、私が寝ているのは硬いアスファルトの上だった。


 着込むだけ着込んで、誰かに貰った毛布を被り丸まって眠る。酒と薬で麻痺させておけば何も考えずに夢の中。とはいえ、夢でさえ私に幸福を与えてくれはしない。寝ても覚めても苦しい。


 頭痛が酷い。寒い。

 早朝の広場。辺りには私と歳の近い人間が倒れていたり、座っていたり、立っていたり。人生に適応できない人間が、今を生きるためにたむろして、結局なんともならなくて、このままどうなっちゃうんだろうなんて考えても答えなんて出なくて。何も考えてない子もいるんだろうけど、多分、私と同じように不安な子もいて、家にも帰れず、どうしようもなく、どうしようもなく……



 風が冷たい。

 何でこんなに冷たいのに、街を歩く人達は笑っていられるんだろう。私はちっとも面白くないのに。



 今日はどうしよう。これからどうしよう。どうすればいいんだろう。分からない。寒い。毛布の中から、私は動けない。




「笑っている人達が不孝になりますように」



 そんな呟きだけ世界に落として、私は毛布に潜る。寒い、動けない。動けない……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

キッズ 白川津 中々 @taka1212384

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ