惚れデレマジ爆発

「で、でね………私が今日会ってた人は、人は…

うぅ…」


 抱き着いたまま氷華は恐る恐る喋り始める。声音は震えており親に怒られた雛みたいだ。…あぁ監視さえなければ……


「……うん」


「偶々…そう偶々ネットの掲示板で、見つけた…」


「……うん」


 嘘だろ?ネットで必然的に探して実際に会うとか氷華の危機管理が……いやでも、俺がプライベートまでズカズカ入っても……


「そ、その人は犯罪だって分かってるのに私に手を貸してくれたの…」


「……う、ん?」


 ん、ん?氷華は何をしたんだろうか。確かに浮気だったら犯罪の範疇に入るとは聞いたことはあるんだが……分からん。


「え、えとそれでね…私の趣味というか何というかは一歩間違えれば犯罪で…」


「……捕まらない?」


「ほ、本人の許可さえ取れれば犯罪じゃない……」


「お、おう」


 あの賢い氷華が許可を取らずに犯罪を?

マジで何をしたんだろうか…


「そ、それは――『盗撮』……なの」


 冷ややかな空気がリビングを満たし、時が止まったかのように静けさが際立った。俺の心に響いたのは―『盗撮』只その漢字二文字。


「…え?盗、撮」


 声に出してやっとのことで頭に入ってきた。

――盗撮

―――盗撮

――――盗撮


 へぇ〜盗撮ねぇ…

――誰を!?

 確かに氷華は俺を盗撮していたが、男に頼むほどのものではなかったはずだし…

 というより何時も普通に写真撮られてるような…

いや、アレも許可がないから盗撮?



「最初はホンノ少し悪戯心とかあったんだけどその人の撮るそうや君の尊さがヤバすぎてやめられなくなってしまって今ではコレクションだけで8000枚をこえてしまったの。でも、でもそうやが悪いんだよ?カッコ良すぎるし…三年前から写真撮られてるのに気付かないし…何より好き…だから」


「で…結局あの人は」


 よし、二年前からなんて空耳だ……ハハハ


「私が雇った、探偵……」


「「………」」


―何この可愛い生物!

俺のことが好きすぎて探偵にまで頼んで盗撮…

変な拗れ方してる氷華はやっぱ万物共通の可愛いさが出てしまっている。


―でも探偵って浮気調査とかも入ってるんじゃ

よし!この際考えないオォけー?


「……実物見せてくれない?」


「う……見せなきゃ、だめ?」


「っかわ…ダメだ」


「見せても、引かない?」


「……引かないから」


「うぅ…コレ」


「え?これいつ撮ったの?明らかに俺の裸が撮られてるんだけど…コレは…俺がテレビを見て休憩を摂ってる時の写真……え、コレは白ちゃんと寝てた時の写真まで………」


 あぁ…でもそうかリビングの机に隠されていた小型カメラは氷華ではなさそうだな……と、なると…

…今は考えるのをやめよう。でも―


「うぅ…」


 コレを撮っていた男は狂気に染まっているな…

美少女にこんな写真を三年間提供し続けるとかコレコソ犯罪ではないだろうか…

 にしても抱き着いたまま意見を求めるように見上げてくる氷華の顔は今にも死にたいです!というこの世で一番可愛いウルウル顔をしている。




「探偵雇って盗撮するのこれからは禁止だね……異論も反論も許さないからね」


「鬼、鬼畜、イケメン、白ちゃんと浮気してた最低男……」


 あぁ、そのツンとした顔可愛すぎやろ。猫を俺の恋愛対象にする位嫉妬してくれるなんて彼氏冥利につきるというもの。―でも


「でも、良かったよ」



「……ふぇ?」


「浮気とか、脅されてるとか、氷華が痛い目にあってないかとか…凄く心配で不安に感じてたんだからな」


「う、うん」


「だから氷華にならいくらでも撮られていいから…人を雇ってまでしないでね?――

後、僕はそんな位で氷華を嫌わないから安心して」


「っ!?…んっ♪」


「でも――お仕置きとして色んなコスプレしてもらうから覚悟しててね?…あぁ楽しみだな」


「う、うん……程々、所望」


「アハハハ」


 さっきとは違い和やかな雰囲気になったリビングに響く声は優しさを帯び、夏の熱気が届くことがない部屋の中で氷華に抱きつかれ続けたのであった。


彼女曰く―


――『心、誰にも…譲らない…今は、体』


 甘える様に抱き着かれなが言われた俺は何も言えずに膠着してしまったけどね…





―――――――――――――――――――――――

題名の『惚れデレマジ爆発』ってなんよww


 さて…そろそろ謎を一気にばら撒いていこうと思います!次回『勝ち気系女子は案外賢い?』です!


今回のヒントはカメラです!

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無口無表情な彼女が可愛過ぎる!けど、暗躍する女の影が……… 読書中毒者 @kuruisyousetu

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