第4話 世界の輪の中
薄青く発光した床は闇を薄めた。白い墓石を囲むように同色の長細い棺が並ぶ。その中の二つが自動で開いて銀髪の少年と赤髪の少女が起き上がる。
双方、何も身に付けていない。裸の状態で少女が叫んだ。
「な、なんで! どういうことよ!」
「落ち着け。ここはパティが期待した別の世界だ」
「神様、わたしの装備は! 魔法が、そんな!?」
パティは立ち上がろうとして足を滑らせた。転がり落ちた床で低く呻く
「い、痛い。上手く、動けない。わたしの世界は、どこ?」
「ここだ」
少年は背後にある白い墓石に親指を向けた。
「保存された人格と世界が収められている。こちらが本当の世界で探索する仲間を探していた」
「わたしは、人間、じゃない? この身体は」
「水、タンパク質、炭水化物が主な成分で保存した記憶を植え付けて」
「あは、あはははっ!」
目を見開いた状態で笑った。
ぱたりと笑い声が止まる。パティは床に額を押し付けて縮こまった。ただ、身を震わせた。
「……遣り直しか」
少年は落胆の声を漏らし、棺の中にごろんと横たわった。
暗い森の遺跡に赤髪の少女は現れた。中央の文様の上で箒に跨り、呪文を唱える。
銀髪の少年は腕を組んだ姿で現れた。
「興味深いね」
驚きの表情で振り返る少女に少年は赤い眼を細くした。
世界を壊す 黒羽カラス @fullswing
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