第4話 エンドロールの、そのあとで
玄関先の掃除が終わった。先日の騒動は終わり熱りも冷めつつある。次はネイヴ(会衆席)の掃除をしようと玄関を開けると美丈夫がいた。
背が高く肩幅も広く胸も厚い。短い黒髪の下には瑠璃色の目を持つ精悍な顔つきがある。上に着ているのは紫色の袖飾りのある騎士服。乗馬パンツに皮のブーツ。既視感ありありの服装だったりする。顔をあげて上を見ていた。先日の騒ぎで壊れている天窓がある。
「重装鎧でこの高さから落ちていたら、命はなかったな」
魅力的なバリトンボイスが耳をくすぐる。中身は物騒だけど。
「俺を助けたというか投げ飛ばしたのは君か?」
天窓を壊して落ちてきた鎧の中身!
「助かったよ。感謝する。俺はナヴァール公爵家ロード フィリップ」
すると玄関が開いた。そちらに振り向くと鮮やかなブロンドが丁寧に編み込まれ髪をした女性が顔を出した。
「あっと聖女…見習い」
レディコールマン!すぐさま顔を引っ込めてしまった。
「こうすると」
後ろからの声に振り返ると紫色のマスクをつけた美丈夫が
「ドゥバァーと呼んでくれ」
再び玄関が開く音。向きたくないけど振り向いてしまう。
緋色のマスクをつけたレディが
「私のことはオジーンと呼んでくださいませ。丁度あなたのコスチュームも出来ました」
藍色の生地でできた騎士服を広げている。が、その色は聖女服に使われる。
「その色は聖女さまの色、見習いには着られません」
やったね。断れる理由あり。
「問題無し!聖教会本部が認めました。さあっ私たちと共に戦いましょう」
「えっ!マジ」
開いた口が塞がらない。
もう一度振り返り祭壇のあるサンクチュアリに向かって手を組み、それは力強くにぎり、
『なんの試練でしょう』
額にいる'御方'と教会の始祖たる聖女へ祝福と託宣を授けた'主'へ抗議の思いを飛ばした。
辺縁市街地の仮面聖女…見習い @tumarun
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます