第33話 2人きりの病室
秒針が刻々と時を刻み夜が更けていく。椅子の上でしゅんは気づくと目を閉じていた。
ちゅんちゅん。なんともベタだが鳥の声でしゅんは目をさました。
「やべ、いつのまに寝てた..ん?なんだこの毛布」
そのまま寝ていたはずなのに毛布がかけられていることに気づく。
恐る恐るベッドの方に目をやる。すると昨日まで目を覚ましていなかった優美が
ベッドの上に座っていた。
「ゆ、優美」
「おはよう。ここは病院よね。わたしもしかして、またしゅんに助けられ、、え?」
何も考えず、ただ優美の目が覚めたことが嬉しくて気づいたら優美を抱きしめていた。
「よかった。俺もう目が覚めないんじゃないかって」
「ちょ、ちょっと、しゅん。」
優美も恥ずかしがりながら、しかし自分のことを本気で心配してくれていたことに関しては、素直にうれしかった。
「おいしゅん、一条の様子はどうだ..おい、お前ら朝から病室で何やってるんだ?」
優美の様子を見に来た摩耶と隆弘が、いきなり病室に入ってきた。
「ぎゃーーー」
衝動的に優美を抱きしめていたしゅんは、ようやく自分のしていることに気づき、同時に二人に見られてしまったことに激しく後悔し、優美を慌てて離した。
「しゅん、なかなかやるじゃん。隅におけないなーもう」
隆弘もニヤニヤしながらしゅんを煽る。
「いや、これは何ていうかその場の勢いというか」
そう言いながら優美の方に目をやるが、優美は下を向いてやり過ごそうとしていた。
「まあ、とにかく一条の意識が戻ってよかった。それで早速だが状況を整理したいんだが、一条、話はできるか?」
「はい、もう大丈夫です。」
「わかった。じゃあ早速で申し訳ないが昨日のことを話してもらってもいいか」
「はい。昨日水上さんに模擬戦を申し込まれたので、放課後第一演習場で予定通り模擬戦を行いました。わたしが追い詰めたら、突然何かを口に入れました。そしてその瞬間に、福田君から感じた異様な魔力を水上さんも使用したのです。私は水上さんの魔法に倒されましたが水上さんは意識を失っていました。」
「ああ、しかも福田の時より異様な感じがなんとなくだけど強い気がした。なのに本田の野郎」
昨日のことを思い出して憤ったようにしゅんが言う。
「それで、水上さんは救急車で病院に。私は本田先生が保健室に連れて行ってくれたんです。そこで話していたら、本田先生が錠剤の入った瓶をおとしました。」
「錠剤?」
「はい、その薬から福田君や水上さんの時に感じた魔力がわずかにありました。
最初から、一連の犯人は学校関係者だというのが私たちの推測だったのですぐに本田先生を問いただしました。そしたら、第5演習場に連れていかれてそれで…」
優美の話はそこで終わり、それ以降のことは一切覚えていないとのことだった。
魔法学校序列1位は1年生 @hiroshikikuchi
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