第10話 ⭐旅立ち⭐

ボクは朝早くに船着き場へ行った。

さすがに疲れたなぁー。


ボクは昨日の夜は一睡もせずに島をぐるりと探検してきたんだ。

懐かしい裕子さんのお店。

ここでボクは(クリリン)という名前だった。


そして、仲良し夫婦の池ちゃん達。

ここでのボクの名前は(くるり)だった。

『くるり~、たまには畑仕事を手伝ってくれー』とじーちゃんに言われてたなぁ。



それに、吉田のばーちゃん。

ここでのボクの名前は(ネコネコ)だった。

たまにしょっぱいシャケの身をくれるので、喉が渇いてしまうんだ。

そしてネコの集いの広場もお散歩したよ。

外ののら猫達にも挨拶をして回った。

ボクはここでは幸せなのら猫だった。


ボクの名前を付けてくれた島の人達にサヨナラをしようと決めた!


あ、瑠璃さんと結ちゃんだ!

大きな鞄を持った二人をボクは必死で追いかけた。

皆が二人をお見送りに来ている。

瑠璃さんと結ちゃんは皆にお礼を言って船に乗り込んだ。



ボクは必死で二人を追いかけて船に飛び乗ったんだ。

『あっ、オッドだ!』

結ちゃんはすぐにボクの事を見つけて抱っこしてくれた。

『あら、オッド。来ちゃったの?』

瑠璃さんは優しく笑いかけてくれた。

『一緒に行こっか。』

『にゃぁん』

ボクは瑠璃さんと結ちゃんと一緒に島を離れて生きていく。


名前をたくさんもっていたボクの名前は(オッド)になった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

たくさん名前を持つボク 綴。 @HOO-MII

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ