とあるトラップダンジョンとTS少女(14歳)
酸味
導入
私は14年前この世界に生まれた美少女である。この世界の14歳にしては少し身体の発達が遅れているところはあるものの、概ね私は美少女である。私が声をかければ男は総じて動機を起こし、うなじを見せれば心臓に大きな負荷がかかり、振り向きざまに微笑めば老人を軽く殺しかける程度の美少女である。
そんな私は元異世界の男であった。生まれた瞬間、目の前には(中略)ということだった。
転生モノの説明なんて今更しなくてもよかろう。
ということで今私の目の前にあるものを描写してみよう。木と木と木と木と木と木と木と木、それから木。これを一言でいうと森である。そしてその森に一つの大きな洞窟がある。それは変哲もないただの洞窟のようでありながら、しかし私にはその存在がはっきりと理解できていた。なぜなら私には鑑定の能力があるから。
『鑑定をするには年齢が足りません』
その文字列はそこにある洞窟の正式名称が『鑑定をするには年齢が足りません』というものだということではない。いや、字面はたしかにそうなのだけれど、これにはこの世界のイカれていて、その上唾棄すべきほどに無粋な制約が影響している。
皆様はレイティングについてご存知だろうか。映画とか、ゲームとかにつけられているR-○みたいなやつのことである。15歳以下禁止、18歳以下禁止とか言う意味合いを持ったそれのことである。
そしてそれはこの世界においては、地球におけるそれよりも広範に影響を及ぼしている。この世においてレイティングはすべての物事に適用されて、年少の者たちはそれらから隔離される。鑑定の表示もレイティングが原因である。
こういうことは今日ばかりでなく、以前人目を避けてアングラな場所に潜り込み、そういう店でえげつない形をした特定の物体Xを鑑定にかけたときもそうだった。
しかしそれを翻すと、その表記が出るものはアレな要素を持つのである。 統制が大好きな共産主義女神様も愚かなことだ。私からアレへの抑えられないコレを妨害することなどできるはずもない。
ここ数年間、肉体的に成長していく私自身に前世の私の感性がどれほど焦らされたかわからない。けれどこれはアレな何かを持った洞窟、いわゆる某トラップダンジョンの可能性がある。そして傍から見たら単なる洞窟であるからこそ、ここに私が入り込んだとしても、私は単なる哀れな被害者と認識されることだろう。アレ方面に興味津々なちょっと残念な女として認識されることはない。
つまり体の中を荒れ狂うモノをついに解き放つときが来たのだ。
よだれは止まらない、足も止まらない。
誹りたいのならば謗ればいい。痛めつけられたいような特殊な人間だと罵るがいい。だが私は進行をやめることはない。この一歩は人類にとってあまりにも小さい一歩だろう。しかし私にとってはあまりに大きな一歩なのである、ぐへへ。
ということで私は洞窟に入り込んだ。
視界は暗くなる。記憶が低くなる。
そしてその瞬間、私は大量の液体を浴びた。
期待が鼓動を早めた。
とあるトラップダンジョンとTS少女(14歳) 酸味 @nattou
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