同期コラボ配信(4期生の絆はあります!・・・あるよね?)①

 ソロ配信の翌日。なんと同期の蓮道寺かくりよさんからコラボのお誘いを受けた。

 DMでのお誘いだったのだけれど、彼女とお話するのは初めてだったので緊張してしまった。

 別に不仲とか、意識して話さなかったわけではない。

 ただ、タイミングがなかっただけだ。

 先日、勉強のために彼女の配信を観た時に、なんて才能あふれる人なんだろうという感想を受けた。

 以前説明したが、彼女はストリーマーグループからの引き抜きなのだ。

 つまり、配信のプロ。そりゃトークも上手いわな。

 最初から最後まで喋りっぱなしで、トークの緩急もしっかりあって。

 それを見たときの私の感想は「いやプロやん!」である。

 こんなすごい人が同期なんて、プレッシャーがすごい。

 白状しよう。私は4期生の才能にびびっている。

 私なんて、配信経験のない一般女性なのだ。勘弁してほしい。

 そんなびびっている相手(語弊ありまくり)からコラボに誘われたとあれば、そわそわしてしまうに決まっている。

 ちなみに、ボイスチャットを繋げてのコラボとなる。

 最初からオフコラボはハードル高いしね。

 そして気になるコラボ内容とは……。


「4期生だー! わー!」

『え、なにその掛け声聞いてないんやけど』

「今思いつきました!」

『そうやろうな! これもしかして4期生の定番挨拶になる? うちついていけんかも』

「大丈夫、もう金輪際しませんので」

『ええなんでなん』

「滑ったからです……」

『そんなん気にせんでいいのに〜。友ちゃんが空回りしてるところ好きやで』

「空回りって言わないで……」


 コメント

:4期生コラボきちゃー!!!

:きたーーー!!

:テンションの温度差よw

:空回りw

:言葉の刃w


『冗談やで?』

「ほんとですか……? じゃあ気を取り直して……挨拶から始めちゃいますか?」

『そうやね、でもその前に気になることがあるんやけど、なんで友ちゃんは敬語なん? 同期やのに』

「ああ……一応お話するのは初めてだから……とかですかね?」

『確かにな、それはそうやわ。それじゃ今日を機会に変えていくのはどうやろ? だってもう初めてやないんやし』

「そうだね! もうがんがん殴ってもらっていいから!」

『殴らんよ!? うちそんな怖い女やないよ!』


 コメント

:そんないい声で言われてもなあw

:友ちゃんドM説

:友ちゃんがドMとか俺得でしかない


「え、でも私のイメージだとかくりよさんってドSなのかなって思ってたんだけど」

『あ、それはな、合ってる』


 コメント

:合ってるんかいw

:知ってた

:行く先々でかくりよ様の豚希望者が量産されていくのよ

:かくりよ様の配信はドMホイホイ

:飴と鞭が絶妙なんだよな


「あ、その「合ってる」の言い方いい」

『よかったん? もしかして友ちゃんってM側の人?』

「どっちかと言うとMかなあ」

『じゃあ今度縛らせてもらってもええ?』

「アッ……ど、どうぞ」


 コメント

:やばい友ちゃんのMのパトスが刺激されてる

:オフコラボ決定だな

:俺も縛ってくれ!!

:今の声やばw

:隠しきれないMやん


『まあその辺のことは追々考えるとして、今日はやることがあるんよね?』

「今日は、マシュマロに届いた質問に答えつつ同期の絆を育んでいきたいと思ってます」

『こまちゃんおらへんけどね〜』

「あ……やばい不仲説出ちゃう」

『出えへんよ! まだお話したこともないのに』


 コメント

:お、4期生ギスギスか?

:まあこまちゃんも忙しそうだしねえ

:今はコラボするつもりはない的なこと言ってなかった?


 もちろん、不仲とかそういうわけではない。

 かくりよさんの言う通り、そもそも話したこともないのに不仲になりようがないだろう。

 これもかくりよさんと同じで、やはりタイミングがなかったに尽きる。

 私だって、かくりよさんからコラボのお誘いを受けなければひよってお誘いしなかっただろうし。


「ほんとにそう! みんな違うからね。今日はかくりよさんがよければコラボしませんか〜?って誘ってくれたから、え、ぜひぜひお願いしますって言って今回のコラボになったんだよね」

『そうやねん! 友ちゃんの初配信観た時から何この子! っておもて。絶対お話してみたいなあって思っとったから、思い切ってラブコール送ったら快くOKしてくれてん』


 コメント

:てぇてぇ

:伝説のデビュー配信

:かくりよ様からだったのね

:あれすごかったもんね

:かくりよ様も注目する逸材


「ラブコール……ちゃんと受け取ったよ」

『まあこんな具合に程よく解しつつ進めていこうと思うのでよろしくねん』

「せっかくいい雰囲気だったのになんで!?」

『それはな、飴と鞭やから』

「飴と鞭すげえ……」

『ほんでこの可愛らしいイラストたちは何なん?』


 かくりよさんが、画面中央に用意してある可愛いライオンのイラストと、ハートの貯金箱のイラストに言及した。

 かくりよさんにはコラボ内容について、「視聴者から寄せられた質問に答えつつ同期の絆を育んでいく」とだけ説明していたため、このイラストの用途がわからないという感じだった。

 私はかくりよさんに軽くあしらわれて若干傷つきつつ、意図を説明した。


「まずこのライオンは、空気が微妙になったら質問ごとぱくっと食べてくれます」

『え、食べるん? ライオンって肉食やのに?』

「大丈夫、雑食のライオン連れてきたから」


 コメント

:突っ込むところそこなの?

:変な物食わされるとも知らず連れてこられたのか...

:つまりなかったことにしようってことか

:質問食べられる人かわいそうw

:そのためのライオンなのね理解理解


『じゃあこのハートは?』

「このハートは、絆が生まれるとこんな風に小さいハートが溜まっていきます」

『なにこれかわえ〜!』

「かわいいでしょ」


 私がキーボードマウスをかちかちすると、ハートの貯金箱の中に複数の小さなハートが生まれていく。

 簡単なものだけれど、かくりよさんに喜んでもらえてちょっと嬉しい。

 説明が済んだので、小さいハートを消していく。


「まあ同期の絆があるならこれくらいすぐ満タンになっちゃうかなー」

『せやせや! 見せつけていこうやないの。今日は友ちゃんとマブダチになるつもりで来てるから!』

「おお! じゃあもしマブダチになれたら、オフコラボなんかも出来ちゃうかもしれないね!」

『当たり前やん〜。一緒にお風呂入ろうな〜』


 コメント

:おおお!

:ぜひオフコラボで...

:お風呂コラボ全裸待機

:クソ...羨ましすぎる


「お、お、お風呂!? 裸の付き合いってことですか……?」

『そそ、毛穴の隅々まで観察したるからな』

「隅々まで……やばい、パックしなきゃ」

『言うて綺麗やろ?』

「全然だから! 毛穴汚れてるのー!」


 コメント

:【悲報】友ちゃん、毛穴汚かった

:突然のカミングアウトw

:これは切り抜き確定


『そうなん? 良いパック教えよか?』

「え、まじで教えてほしい。あとで聞いてもいい?」

『全然ええよ〜』


 コメント

:突然始まるガールズトーク

:綺麗になるといいね


 かくりよさんは美容とかに詳しそうな印象があるし、長年の悩みである毛穴汚れが改善されるかもしれない。

 そんな期待を抱きつつ、私達は質問コーナーに移っていった。

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友達の代理でVtuberになったら予想外に人気が出て困ってます 羽槻聲 @nonono_n

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