友ちゃんソロ配信(最初だし危機管理能力学ぶかーww)②
みかくら高校――ネタ系動画を主に上げている新進気鋭のVtuberグループ。
現在は4期生まで、私含め合計12人の個性豊かなライバーが所属しており、様々な活動をしている。
この箱の特徴はなんといっても、その活動スタイルである。
現在のVtuber界隈は配信勢と動画勢で分かれていると言ってもいいだろう。
配信なら主にゲーム実況を、動画なら旬のネタを。
しかしみかくら高校はその固定観念に囚われず、むしろYouTuber寄りの動画編集を意識することでVtuber好きのみならず一般層も取り込むことに成功した。
とはいえそこはVtuberらしく、ゲーム実況をメインに活動するライバーもいる。
それぞれが思い描く活動を希望の姿で。そんなコンセプトの元立ち上げられたのが、みかくら高校というわけだ。
そんな個性派揃いのVtuberの中でも特に異彩を放っているのは、鮮烈なるデビューとともに箱の躍進に貢献してきた1期生。
彼女たちはリスナーの間で「起源にして頂点」と呼び声も高く、界隈の流れを敢えて逆行するスタイルで人々の注目を獲得してきた。
特に1期生メンバーである洲古すこる先輩を推しとして挙げているみかくらライバーは多い。彼女は箱の象徴と言っても過言ではない存在で、他のライバーは知らないけど彼女のことは知っているという人もいる。
これは主観であるが、コスプレの採用率も彼女が一番多いような気がする。
そんな、大先輩にして箱の功労者の一人であるすこる先輩がコメントしてきてくれた!
コメント
(洲古すこる):幼女の腋っていいよね
うん、反応に困る。
でも、初めての先輩からのコメント。
すこる先輩には実際に会ったしさっきも一緒に映画観に行ったんだけれど、コメントはコメントの嬉しさがある。
だって今、私の配信を観てくれているということだから。
視聴者もすこる先輩のコメントに沸き立っていた。
なので、私はこの流れに大いに乗らせてもらうことにした。
「腋ですか。私も好きですよ腋。幼女だとちょっとペドになっちゃうので小学校高学年くらいがいいですかね、私は」
幼稚園教諭が言っていい台詞ではない。
ただ、誤解を招かないように言っておくと、ここは突っ込むよりも先輩に乗っかった方が盛り上がると思って悪ノリしただけなのだ。
それに私は別に腋フェチではないしロリコンでもない。ロリは好きだが。(ペドは除く)
コメント
:その辺りを選ぶところにガチみを感じる
:もうだめだあ...
:早速正体現してて草
:子供好きの女性とかいいやないか
:ただのロリコンなんだよなあ
「実はさっき、すこる先輩がなんと映画に誘ってくださって。他の先輩方数人とちょっとお出かけしてきたところなんですよね。先輩、その節はありがとうございました。今度またお礼させてください」
コメント
:お、いいねー!
:いい先輩
:なんの映画観たの?
:セクハラされなかった?
:手が早いな
(洲古すこる):美味しくいただいちゃいました♡(ポップコーン)
:おい言い方w
:ポップコーンなら問題ないね!
「あ、そういえばすこる先輩……つまり先輩に愛がほしいって言って振られてませんでしたっけ?」
コメント
:その話kwsk
:つまりちゃんもいたのか!
:俺らの知らないところですこつまが始まって終わってた
:相変わらず振られてて草
:浮気ばっかするから...
「詳しくって言われてもそのままなんだけど……なんか映画が始まる前につまり先輩がジュース買うけど何かいるものあるって聞いて、他の人たちはポップコーンとかリクエストしてたんだけどすこる先輩だけ「つまりの愛がほしい(イケボ)」って言って、無視されてたのが面白かったっていう」
コメント
:そりゃ無視されるわ
:だる絡みやん
:なんだ通常運転か
(洲古すこる):あいつ最近ノリ悪いから友ちゃん浮気しないか?
:アウト!
:友ちゃん逃げてええええ
:これは裁判案件
:堂々と浮気しようとしてて草
「浮気するくらいならちゃんと別れてください」
コメント
:ドロドロしてきたなw
:これは正妻が黙ってないな
こうは言ったが、もちろん、既存カップリングに割って入るような無粋な真似はしない。
すこる先輩は配信を盛り上げるためにコメントしてくれたのだろうし、私も先輩と配信上でお話するのが楽しかったので、コントとして昇華することにしたのだ。
「浮気性の先輩はもう放っておきましょうね。じゃあ次の問題いきます」
私は新しいフリップを出した。
「もし配信中に彼女バレしてしまった場合!」
コメント
:彼女!?
:誰よその女!
:それ大丈夫か?w
:反応に困るネタだなw
:ぶっ込んだなー
:やめとけw
コメント欄が少しざわついた。
まあ予想通りの反応である。
ただ、これ元々は彼氏だったんだよね。
でもそれだと勘違いする人もいるかもしれないということで、彼女にしたほうがいいと先輩に提案してもらったのだ。
Vtuberリスナーの中には、ガチ恋勢と言われる人たちがいる。
読んで字の如く、Vtuberにガチ恋してしまった人たちを指しているのだけど、所謂ガチ恋営業をしている人ほどそういったファンがつきやすいらしい。
ガチ恋営業というのは、リスナーに「大好きだよ」って言ったりやたら距離を詰めたり恋人ムーブしたりすることだ。
お察しのとおり、ガチ恋営業をしているVtuberは恋人バレした時の危険度が著しく高い。
私はまだまだこの界隈に来たばかりで、どうして炎上してしまうのか理解がなかなか及ばないのだけれど、あまりのめり込みすぎるのはよくないということは分かる。
パフォーマンスをパフォーマンスと捉えられない人が多いのかな、とは思うけれど。
ちなみに、ひよっこVtuberの私がなぜこんなに界隈事情に詳しいのかというと、飽くなき探究心の
私は別にガチ恋営業するつもりはないし需要がないのも分かっているけれど、不安の種は刈り取っておきたいと思って敢えてネタにしたのだ。
「いや〜、怖いですね〜。これは大荒れですよ。この人はガチ恋営業でもしてたんでしょうか。そんな、俺達の女神に彼女がいたなんて……! 俺達が信じていたのはなんだったんだ……! そんな悲痛の叫びが聞こえてきそうですね」
私はハートで繋げられたVtuberの女性と、その彼女である女性を見てショックを受けているリスナーのイラストの上で、その辺にあった動物のイラストをくるくる回した。
コメント
:脳が破壊されるやつ
:彼氏よりはまし
:なんでやお前らの好きなてぇてぇやぞ
:ガチ恋勢って彼女でも嫌なん?
「このままではVtuber活動が立ちいかなくなってしまう! でも大丈夫、私に任せれば万事解決なんですね〜。この問題に対する答えはこちら!」
しかしここまではネタ振りにすぎない。
私は新しいフリップを用意した。
「カップルチャンネルデビューする! よいしょ!」
私はわざとらしく拍手した。
フリップには、ハートの中で幸せそうに笑っている二人と、それを祝福している視聴者が描かれていた。
コメント
:動画投稿減ってしばらくしてからご報告動画くるまでがワンセット
:解決...なのか?
:Vtuberのカップルチャンネルは新しいな
:アンチに真っ向から喧嘩売っていくスタイル
:これは策士
:誰も傷つかない世界
:でもこの相手が男だったら叩くんだろ?w
「交際を隠すのではなくて、もう大っぴらにして公認カップルにしちゃおうっていうことですね〜。こういうので怒る人の大半は騙されたっていう被害妄想から攻撃的な手段に出てしまうことが多いと思うんだ。だからこそ敢えて交際をオープンにしていく! するとアンチの気勢はそがれるんだ! そういうものなんだ!」
コメント
:そんな上手くいくか?
:まあ一理ある
:極論すぎる
(洲古すこる):え、友ちゃん...?彼女いない...よね?ね?いたら許さん
:一人ダメージ受けてるやついて草
:ヤンデレ助かる
:最後の一言の圧すげえw
「すこる先輩、安心してください。私はフリーですよ」
コメント
(洲古すこる):よっしゃ!!!!お前ら抜け駆けすんなよ!!!!
:よかったねw
:しねえよww
:むしろすこるちゃんなら寝取りそうまである
:まあいるって言われても困るがw
:8000人に恋人の有無を開示した女
「もしこれで彼女持ちだったらどんな匂わせなんですか。もうカップルチャンネル作る気満々じゃないですか」
コメント
:確かにw
:なんか悲しくなってきた
:もうこの話やめない?
:俺は別にいてもいいけど、見る相手によっては劣等感刺激されそう
「あ、やばい落ち込んできた。もうこの話やめようね。次いきます!「え、彼女? なにそれ、この子私のペットなんですけど?」で乗り切る作戦!」
コメント
:苦しすぎて草
:ペット(意味深)
:ペットはあかんw
そうして配信は進むのだった。
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