友ちゃんソロ配信(最初だし危機管理能力学ぶかーww)①
先輩方とのお出かけから帰ってきて、一人。
楽しかったフィルターがかかっているからか、なんだかいつもの部屋が違って見えるようだった。
すごい充実感。やっぱり私は人が好きなんだろうな。
ほどよく疲れて、お風呂に入ると若干眠気が襲ってきた。
でも今日は絶対配信したいし、眠気をこらえつつ機材調整をした。
以前話したが、PCなど配信に必要な最低限の機材は事務所に貸していただいている。
ゆくゆくは自分専用のPCが欲しいなあなんて思いつつ、今は自分の活動を頑張らないとね。
今日の配信で何をしたらいいか分からないと先輩方に相談させていただいた。
今日は完全にプライベートだったし、あんまり仕事? の話をするのは良くないかなと思いつつ、どうしても不安が拭えなくて。
でも皆さん真摯になって考えてくれてありがたかった。
色んな案を出していただいて、私の中のビジョンも交えつつ話し合いをした結果……。
「今日は混迷極めるバーチャル界を無事生き抜いていけるのか、Vtuberとしての危機管理力を学んでいきたいと思いまーす」
コメント
:待ってたぞ!
:ついにガワを手に入れたのか
:よくわからんけど面白そう
:危機管理は大事だわな
:これは俺らも学ぶべき
:初配信から放送事故だったもんな
:2回目の配信にはちょうどいいな
うん、コメント欄の反応は上々。まあ初回配信が放送事故というコメントに関しては異議を唱えたいところではあるけれど。
ちなみに、今回はもちろんガワありである。
私のこの可愛いガワにみんなメロメロである。
実は、ガワを着て配信するのは初めてなんだよね。
あおしおうしさんに仕立てていただいたこの姿。
動く度に自分の姿ではない美少女が揺れて違和感すごいけど、悪い気はしない。
2Dモデルのクオリティーにも驚かされる。
さらさら動く髪の毛、輝く瞳。要望を出したたい焼きのマークも服にちゃんと描かれている。(初配信に向けて②参照)
総合的に見て、私のガワはかなり可愛い。
これは見に来たくなるはずだ。
そして今日の配信テーマ。
これは読んで字の如く、危機管理がテーマだ。
Vtuberのことを勉強していく中で、この界隈は何かと炎上しやすいということを知った。
発言が配信に乗り、多くの人の目につくからこそ発言や行動には気をつけなければならないということである。中にはVtuberというだけで目の敵にする人もいたり。
規模が小さければそれほど気にすることはないとも思うが、私が所属する事務所は全12名のライバーの登録者数が合計100万人を超える超大手。
小さな火種が、大火事の原因にもなりかねないのだ。警戒してしすぎることはないだろう。
それなら、せっかく2回目の配信なんだし、リスナーと一緒に危機管理を学ぶ企画をするのも面白いんじゃないかという結論に至ったのである。
危機管理を学ぶ配信をしたいというのは私の希望であったのだけれど、それだと淡々としてつまらないかなということを先輩方に相談させていただいたのだ。
すると流石は先輩で、普通はありえない状況を問題として出して、それ自体をネタとして昇華するのはどうだろうと提案していただいて。
たしかにそれなら視聴者も楽しめそうだしということで、先輩方の提案に乗っからさせていただいたということである。
「今回はいくつか問題を考えてきたからみんなと一緒に考えていく感じで進めようと思ってます。ただ誤解のないように説明しておくと今から出す問題に正解はないから、よりよい答えを導き出していこうっていうコンセプトでやらせてもらいます。私が答えて、その答えがよかったかよくなかったかみんなに判断してもらいたいからどんどんコメントしてね。まあ私くらいになると余裕で全問正解しちゃうと思うんで、物足りない感じになっちゃうかなあ」
コメント
:初手遅刻&現地配信決行した人がなんか言ってんで
:不安しかない
:みかくらっぽくてええやん
:まあ炎上してほしくはないわな
「それではこちらをご覧ください」
私は用意しておいたフリップ素材を出した。
そこには問題文とともに、自作の味わいのあるイラストが添えられている。
喩えるならバ○リズムみたいな感じである。
コメント
:フリップにゴミついてんで
:辛辣で草
:なんか見たことあるパターン
「えー、ゴミというコメントが目に入ったのですが多分気のせいですね。なぜならこのイラストはゴミではないので」
コメント
:エアコメかな?w
:友ちゃん画伯だったか...
:味があっていいと思うよ...うん
:そんなコメントあったの?
:気のせい気のせい
:床に落ちてたら間違えて捨てられそうではある
「では気を取り直して始めたいと思います。まずは……今出ているこちらですね。『もし配信中に強盗が押し入ってきた場合、配信者がとるべき行動は何か』」
コメント
:強盗!?
:シチュエーションがコント
:もう事件やん
:配信止めてもろて
「いやー、怖いですね。この犯人はどこから入ってきたのでしょうか。基本私は玄関の鍵は閉めてるので強盗とか入りようがないんですけどまあこれはあくまで問題なので。これを見ただけでもここに描かれてる人物はかなり危機管理が低いということがわかりますね〜」
コメント
:鍵かけれて偉い
:強盗とシュールな会話とかしそう
:ありそう
:強盗のイメージが古典的すぎる
「それでは1つ目の回答を出しましょう。1つ目の回答はこちら」
私はすかさず次のフリップに入れ替えた。
「もうむしろ強盗と仲良くなっちゃおう作戦ですねー」
新しいフリップには、強盗にお茶を淹れて談笑している配信者の女性の姿が描かれている。まあ自分で描いたんだけどね。急遽決まった企画だったので間に合うか不安だったけどなんとか形にできてよかった。
コメント
:優しい世界
:配信二回目でフリップ芸するVtuberなかなかおらんで
:隙をついて刺すんですねわかります
:こういう感じで進むのかw
「脅威である強盗といっそ仲良くなれば脅威は取り除かれて安泰です。ただ、強盗がコーヒー派である可能性も否定できないのでそこは柔軟な対応が必要とされます」
コメント
:柔軟すぎて中国雑技団入れるわw
:強盗も普通に受け入れてんなw
:その時の彼が今の夫です
:強盗いい笑顔やなあ
なんとか受けているようでよかった。
ネタはすべて私が考えているから、つまんないとかでコメントが荒れたらどうしようと思ってたのだ。
コメントの受けの良さに気を良くした私は次のフリップに入れ替える。
「次の回答はこちら! 「強盗を家に迷い込んだ幼女として扱う」」
フリップには慈愛の表情を浮かべた女性が戸惑う強盗の頭を撫でつけている姿が描かれている。
コメント
:おいww
:無理があるだろw
:なんで強盗はまんざらでもなさそうなんだよw
:自分をおじさんだと思い込んでる幼女ってこと!?
「ここのポイントは、強盗のおっさんを幼女だと信じきることです。こちらが信じて接すれば、強盗も「あれ、もしかして俺本当に幼女だと思われてるのか?」と錯覚するようになります」
コメント
:そうはならんやろ
:高度なプレイだな
:そして幼女性に目覚めるのか...
:俺も幼女になってちやほやされたい
「そして強盗が完全に幼女になったらもはや脅威ではないので全て解決してしまうんですねー」
コメント
:完全に幼女になるとは
:刷り込みじゃね?知らんけど
:おっさんの性癖捻じ曲げないでもろて
:俺はVtuberの配信を見てるんだよな?芸人のネタライブじゃないよな?
:芸人デビュー全裸待機
:今北産業
:危機管理講座 なぜかフリップ芸始める 芸人説浮上
:やっぱり友ちゃんはみかくらの女だわ
私はPC画面に向かって喋りながら興奮していた。
自分のことを見てくれる人たちがこんなにもいる。
自分がしたことに対して、思い思いの感想を伝えてくれる。
今、世界に承認されている。
き、気持ちいい……!
普通に生きていたらまず味わえない感覚だ。
配信活動がこんなに楽しいなんて……。
私は今、初めてを体験していた。
前回は視聴者の反応を気にしている余裕なんてなかったしね。
配信、諦めなくてよかった……。
じーんとしていると、コメント欄に色付きのコメントが流れた。
コメント
(洲古すこる):幼女の腋っていいよね
:変態きたw
:すこるちゃんもようみとる
:すこおじきたー!
:自分を幼女だと思い込んでるおっさんの腋でもいいんか?
せ、先輩ー!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます