第7話 その後

 テレビ出演から忙しくなりすぎ、お疲れになったレイコさんは、自己の魂を癒すべく表に出るのをやめ、ニューヨークに引越し、個人面談セッションを中心に、アクセスバーズもやったり、SNSで情報発信したり、遠隔でセッションしたりしています。同時期に里美先生もニューヨークに拠点を移し、あちらで頑張っています。

 二人が渡米してしばらくして、あちらで凄い日本人の霊媒師がいると、スピリチュアル界隈に水面下で噂が広がっているという知らせがあり、その年のクリスマスに、アメリカ中の児童養護施設に多額の寄付が贈られたというニュースが全世界で流れた。


 レイコさん渡米後、すっかりマスコミに入り込んだ店長は、店を悟くんのお母さんに任せ、朝の情報番組で元モデルと神社仏閣を巡るリトリートコーナーを始め、そこそこの有名人になっている。リトリートコーナーの最後にはユキティ先生の朝活コーナーもあって、毎日全国にメッセージを届けている。

 私はレイコさんの渡米後、SNSでタロットやオラクル占いをしながら、天使の絵専門のイラストレーターとして、それなりに忙しくさせていただいています。ちなみに私の過去視能力はあれ以来発揮されることはなく、スピ能力も未開花のまま。

 で、本日はあの店で初めてのイラストの個展。イラストの個展ってあんまりないけど、悟くんのお母さんと悟君のご厚意でね。

「サリーさん、ミキティ先生」

「素敵な絵だね」

サリーさんの優しい声。

「すごく波動が高いよ」

と、ユキティ先生。

私には波動は感じられないけど、ユキティ先生にそう言ってもらうとめっちゃ嬉しい。

 サリーさんも今はお店を離れ、遠隔で気功セッションをやったり、情報発信したりと気功師として名を馳せています。


 悟君はお母さんと一緒に店に出て、里美先生から受け継いだレシピや新しく考案したメニューを作り、毎日いろんなお客様をお迎えしています。コスモも看板娘(?)として、せっせとお客さんに料理を運んでいます。悟君の霊能力は、しばらく封印みたいです。


 あの時鬼頭に言われたことは、証明できたのだろうか。ただ一億円を払わずに済んで、実は内心めっちゃホッとしているのは内緒です。


おわり


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素敵な霊能者たち 一郎丸ゆう子 @imanemui

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