ガラクタの僕。ナイフを握る。
ハルカズ
序章
『ってことでキミ、今日から見習い殺し屋ね!』
「‥ころしやとか‥…ほんき、ですか…?」
薄暗い裏路地に声が響く。
『いやいや、アタシこそ正真正銘の殺し屋よ!』
事の発端は15分前
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『‥そこの君…』声のした方に振り向く。そこには薄暗い裏路地があるだけ。よーく目を凝らしていると、『‥こっちだ…』という声と同時に赤い光が2つ暗闇の中に浮かび上がった。喉の奥からしゃっくりの様な音が出る。逃げなくては。
しかし、そんな意思に反してその光に吸い込まれるように足は勝手に動いていた。
全身を黒革コートに包み、たくさんのバックル月明かりで怪しく光らせている人物が目の前に居た。紅い目と見えない顔から、いや、全身からとてつもない殺気を感じる。
(逃げないと、逃げないと殺され‥)叫びたかっだが、喉にものが詰まったかのように声が出ない。
その人物はヤンキー座りでしゃがみ込み、こちらの目を覗き込んでくる。
恐怖で全身が震え、呼吸が浅く、早くなる。
しかし、その人物は何も言わずに「殺し屋Everyday!―”思ってたんと違う!”でしょ?―」と書かれた薄っぺらい冊子を無言で彼に手渡した。そこには殺し屋の生活、アジト、仕事内容が書かれていた。
読んでいる間、その人がずっと顔を覗き込んできていた。
フードで顔が隠れていて表情がわからず、落ち着いて読めたもんじゃなかった。
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そうして今に至る。
『そこまで信じられないなら来てみる?アジト。』「…はい」怪しい人物と手を繋いで街の外れの方まで歩いていく。
怖いけど、怖いもの見たさでついていってしまう。
『目ぇ閉じて』大人しく目を閉じる。
『
コーヒーの匂いが彼の鼻に入ってきた。目を開けると、受付の前にいた。
そこで、女性がフードを脱いだ。そこにいたのは、色白で赤黒いつり目、雪のように白い肌、肌の色とは真逆なんじゃないかと思うほど黒々としている、カールがふわっとかかった艶のある髪をした美女だった。
見惚れていると、受付に座っている女性が、「証明書をご掲示ください」
と言った。女性はポケットからカードを取り出すと見せた。「おかえりなさいませ。今日も頑張ってください!」『ありがと!いつもお疲れさん!』女性はそう言うと黒革の手袋がはめられた手に持っていた紙袋を受付のカウンターの上においた。「こんなに差し入れもらっちゃって…いつもありがとうございます!」『頑張ってね!』女性はそう微笑むと、彼と手をつなぎ、歩いていった。自動ドアが開く。そしてエレベーターに乗り、2階へ。そして”210”と金のプレートがかかった部屋に入る。
狂華side
『アカリ〜〜ただいまー』「くるりんおかえr‥ってその人だれ?」『あ〜私が”サムラ”から拾ってきたの。』「え⁉”サムラ”から⁉今お風呂沸かすね!炊飯器のスイッチも入れてくる!お肉も解凍しなきゃっ!」そう言ってアカリはドダバタと駆け出していった。おちつけって。
”サムラ”とは、魔界の中で最下層の魔族、”ドヌリア”達が住んでいる小さな集落のこと。各街の端にある。そこでの生活はひどく、風呂なんて無いし、飯なんて7日に1回食べられたらラッキー。というほどひどいのをほとんどの人が知っている。しかし、ほとんどの人がドヌリアが物乞いや商売をしていても無視することが多い。
理由は単純。汚いし臭いから。でも、殺し屋は全員そういう魔物の闇を多く見ているためか、保護する事がほとんど。
「お風呂湧いたよ〜」『りょ!ありがとね!さ、お風呂入っといで!』「…お風呂って、何ですか…?」『そこからか…』
あたしは手取り足取り丁寧に説明していった。
『はい、これがシャワー!このレバー上げてみ』
お湯が出てくる。少年はびっくりしたのかビクっと震えた。(髪長いから少女だと思ってたのはないしょ。ないしょだからね。)
『よし、頭流してあげるから、そこ座って』
ゴシゴシゴシ…『って、よく見たら白髪じゃん!てっきり茶髪かと思ってた‥』
泥やホコリが髪についていて、髪色は超茶色。
『なんてこった、肌めっちゃ白い!泥だらけだったんだな〜』
そのまま全身洗っていくと…
前髪で顔のほとんどが隠れ、肌が浅黒い茶髪の青年から、
真っ白な髪と肌をしていて、エメラルドのような輝きを孕んだ瞳の美青年に生まれ変わりました!!ぱちぱちぱち!!
『よし、いい感じかな!って、大事なこと忘れてた!』
『あーかーりちゃーん!』「は〜あ〜い〜!」
『髪切りバサミ取ってー』「はーい」
アカリが風呂場の扉を開け、唖然とする。「誰…?」
『さっきの子だけど。』「え〜すごい!美形じゃん!」
『あのーハサミの方を…』「あーはい!」アカリはハサミを放り投げ、女性が片手でキャッチする。
『じっとしててね』伸び放題の髪を切り始める。
『キミ、名前は?』「…ないです」
『キミ、何歳?』「‥たしか、10…」(10か…恥ずかしがったりしないんだな…まあ、まともな教育はされてないしあたりまえか。)
『そっか…じゃ、アタシが自己紹介させてもらうね!アタシは
「…はい」
その後たっぷり風呂に浸かり、のぼせかけたところで2人はあがって来た。
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