第6話 とにかくはやくバットを振れ

時速160キロを超えるボールが僕のバットに当たり、スタンドに飛び込んだ。


なかなかプロの球団から声がかからず、入ってからも下積み時代が十年以上。

速い球にずっと苦しんできた。

最近、やっと一軍の試合で使ってもらえるようになった。


あんなに速い球を投げるピッチャーは、彼以外にいない。

今回のように早くバットを振ることを心がければ、これからもやっていけるだろう。


ところが自信とは裏腹に結果が出ず焦りを感じていた。

解説者はよくこう言ったらしい。


「いつもボールが来るまでにバットを振っていますねえ。彼は一体何キロのボールを打とうとしているのでしょうね」


僕は再び二軍に落とされた。

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スポーツが僕たちを動かし続ける 鴨坂科楽 @kamosaka

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