剣豪ならぬ文豪の業、開花

練達の文章に、新春から心地よく身を委ねさせてもらった。
惜しむらくは一週間という、現代的なワードが、この作品にやや異色であるが、それを除けば「なまくら」な刀など、名刀でないあたりの仕掛けが心憎い。
私はこの作品に出逢えて僥倖である。
情念の揺らぎは、私が日頃において最も飢え、欲するところだ。この作品にはそれがある。
咲き初めの桜花のような文豪の良作、酩酊していただきたい。