第一話 第1話 覚悟
1日2日と言いつつ6日も遅れてしまい申し訳ありません、、、存外筆が進まず、これも想定より少ない文字数での投稿となってしまいました。ですが随時書き上げて行きますのでどうかこの作品を応援していただけますと幸いです。
─────
「核融合炉不安定化!」
「補助電池残量は!」
「他艦との通信出来ません!」
「スラスター制御不能!」
「右舷接触!」
「艦内磁場制御不能!」
「応急!」
「負傷者多数!」
「手当て急げ!」...
白い光に包まれた艦隊はとてつもない混乱の渦へと巻き込まれていた、前後左右突如現れては消える謎の重力場によって艦隊の陣形は意味を成さず、あまつさえ艦同士の接触まで発生する始末。
幸運にもまだ爆発や沈んだ船はいないが、このままこの状態が続けば、なんなら今にでも炎上大破する船が現れてもおかしくない。
「くそっ!これだからぶっつけ本番は嫌なんだ!」
「艦内エネルギー残量七十!」
「文句は後で言って下さい!それよりどうするんですか!艦長!」
「、、、クッ!」
───
哨戒中の3隻、いつもと変わらぬ宇宙。
「はぁー、こんな辺境で哨戒する意味あるんですかねぇ」
「ぶつくさ言うな、こういう辺境こそ悪党が巣ぐうんだ」
宇宙船の船内、拓けた艦橋、その中で一段高くなっている場所、そこには現代の地球ではもう骨董品どころか化石となっているような木製の舵輪が取り付けられており、その前に男が一人と、それに話かけている楕円形のレーダー画面と向かい合っている男が一人。
「そうは言いますけどねぇ、実際ここらで出たことなんて...」
「緊急!周辺宙域の魔力場に著しい乱れを検知!ワープです!」
その男と反対に座っていた女が自身の前にある画面を見ながら言う。それを受け、一番後ろで座っている男、艦長が指示を受け。
「基地へ緊急通信!全艦180°回頭!全速力で現宙域を離脱!取り舵いっぱーい!」
「了解!取り舵いっぱーい!」
舵輪の前の男、航海士が舵輪を左に大きく回すと船もそれに合わせ左に曲がる。
そして航海士は先ほど軽口を叩いていた相手、レーダー手に言う。
「あったぞ」
「ありましたね」
「なんか言うことがあるんじゃないか?」
「...すいませんでした」
「なに言ってるんだお前ら!レーダー手!数は!」
艦長がコントを繰り広げている2人を咎める。
「ワープ艦数...!?10!20!30!まだ増えてます!」
「こんな辺境にそんな数を...?所属は確認出来るか!」
「艦艇波長、該当無し!」
「一体なんだって言うんだ...」
───
「現在、我々は転移の次元波長入れ替え莫大なエネルギーの噴流により、次元の狭間に押し流され挟まっている状態だと思われます。」
この艦の技術長が言う。
「次元の狭間、か、」
「はい」
「脱出方法に見当は付いてるのか?」
「この空間では原子、もっと言えば物体のエネルギーその物が不安定になっているようです。そして、この空間事態も不安定な物だと思われます。これは初期の頃転移に失敗した際に起こった現象と酷似しています。例の事故で原子の不安定化に対する対策がとられたのが功を奏しましたね。」
「ふむ、、、」
「この事から莫大なエネルギーでこの空間に綻び、亀裂を作り、そこから転移装置を使用すれば理論上は行けるかと」
「なるほどな、、、」
男は目を閉じ覚悟を決める様に呟く。
その様を見てもう一人の男が怪訝そうに聞く。
「艦長?」
「核融合炉を始動させる。我が艦はこれよりこの空間に亀裂を作る!」
男の言葉に技術長の男が驚く。
「艦長!?対策されたとはいえこの空間で核融合炉を作動させると核爆発、それ以上の事が起こる可能性があります!やるとしても他艦の残量を合わせれば行けると思われますが!」
「今、艦同士の連携は期待出来ん、ならば単艦でやるしかない!やらなければこのまま死ぬ!」
艦長の意思は固く、それを受けた乗員達も覚悟を決めたようだった。
「はぁ、、、総員第三種緊急配置!」
『総員!第三種緊急配置!』
『これより本艦は現空間より脱出の為、核融合炉を始動し現空間に亀裂を作る。大変危険な行為であるが、皆生きて帰る為、信じて欲しい。』
艦内に艦長の放送が流れる、船員達は艦長への理解が深いのか、ふてくされる様な仕草を見せる者も居るが、皆配置に付く。
艦長は帽子を整え、前を向き命令する。
「核融合炉始動!!!」
「核融合炉始動!」
その言葉と共に起動した核融合炉は唸りを上げ発電を開始する。
地球連邦軍、異世界侵攻作戦第一号 石原阿羅屋 @isiharaaray
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