第41話 中国の怪異・怪談について面白かった本の話
中華怪異×バディ×謎解きもの、「子不語堂志怪録 星なき夜に影は踊る」(https://kakuyomu.jp/works/16818023214151760479)連載中です。全四章の連作短編の予定ですが、四月七日現在、およそ半分の第二章が終わったところで、第三章は八日から連載開始予定となっております。後半のエピソードのほうが長くなりそうなので、応募先のコンテストの文字数規定とにらめっこしながら、執筆と並行してプロットを煮詰めているところです。
人の心がない美形人外、振り回される秀才(ドロップアウト済)、後宮で生き生きと暗躍する妹と多彩なキャラクターが揃いつつ、中華では定番の
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前回(https://kakuyomu.jp/works/16817330651319871394/episodes/16818093074172828714)も言及した通り「子不語堂~」執筆にあたって付け焼刃で中国の怪異・怪談について調べているところです。何ぶん素人目線で「へ~面白~~」と言ってるレベルではあるのですが、ちょっとした記述から物語が生まれることもあるはずなので、「面白!」は積極的に布教拡散しようと思います。
検索方法としては、以前も語ったように(https://kakuyomu.jp/works/16817330651319871394/episodes/16817330651381622405)地元図書館HPの検索システムに関連しそうなワードを片っ端から突っ込む、ですね。今回だと「怪力乱神」「中国 鬼神」など。さらにそこから芋づる式に、同じ著者や参考文献に手を広げたりもしています。
以下、書名等の情報と簡単な感想を列記していきます。
「怪力乱神」 加藤徹 中央公論新社 2007年
「京劇 「政治の国」の俳優群像」 でもとてもお世話になって加藤先生がド直球の本を出しておられる!! ということで読みました。内容は怪異や怪談に限らず、捉えづらい中華の文化・意識について幅広く史実のエピソードや書籍を引用しつつ語る、という感じになるでしょうか。原典そのままの語句だと現代の日本人には理解しづらいところ、どのような思想があってそのようになっているかを紐解いてくださった印象です。個別のエピソードが興味深いのはもちろんのこと、古代中華の考え方に近付く一助になりそうな一冊でした。
「中国の鬼神 天地神人鬼」 著:實吉達郎 画:不二本蒼生 新紀元社 2005年
とっかかりの一冊として新紀元社は間違いなかろう! という考えのもとに手に取った本です。いつもお世話になっております。
タイトル通り、神仙から怪物に近い存在、信仰を集める実在の(?)偉人まで、豊富な画と共に紹介してくれています。封神演義や西遊記でおなじみの名前もたくさんあって「原典ではこうなのか~」という新鮮な驚きもありました。拙作にも採用した縊鬼、借屍還魂などは主にこの本から着想を得てプロットに組み込んだものでもあります。
当初の目論見通り、この一冊でメジャーどころの名前をかなり把握できたので、ほかの本を読む際にも理解が捗った感触があります。
「中国妖怪・鬼神図譜」 相田洋 集広舎 2015年
これはtwitter(X)で知った一冊だったと思います。東方書店さんいつもありがとうございます。「清末の絵入雑誌『点石斎画報』で読む庶民の信仰と俗習」の副題の通り、『点石斎画報』の紙面を乗せつつ、記事の内容と対象の怪異や呪術の解説を加える、というスタイルです。つまり、清末の民衆の暮らしが視覚でもよく分かるというとても素敵な趣向です。
前話にて袁枚の「子不語」を読んだ時と同じく、当時の人々の信仰の温度感が分かるのがとても楽しい。上述のように雑誌、というか新聞という媒体であるにも関わらず、「土地神が疫神と戦って追い返した」なんて記事をさらっと載せている、つまり当時の人々はごく普通にそう信じていたということで。いっぽうでインチキ巫覡が暴かれた記事もあったりして、近代と現代の狭間の風情を堪能できます。
著者・相田先生による同じ趣向の本に「中国生業図譜」「中国生活図譜」もあるので、順次読んでいかなければ! と思っているところです。
「修訂 鬼趣談義 中国幽鬼の世界」 澤田瑞穂 平河出版社 1990年
「中国妖怪・鬼神図譜」にて引用元として頻出していた澤田先生の御本。ここまででもすでにおなじみの縊鬼や借屍還魂のほか、拙作中では美貌の人外の描写に使わせてもらった髪梳き幽霊、
これはもっと先生の御本を読まなければ、と手に取った「中国史談集」(早稲田大学出版部 2000年)も、主に宋~清のエピソードを様々な角度から掘り下げた一冊でとても興味深かったです。「花旦綺羅~」で明代をモデルに描写した身としては、明の皇帝は暗君ばかり! な評がちょっと切なかったりもしたのですが、まあ反論の余地はないところではありますね……。明代について調べていると暗君というものへの解像度が上がるんですよね……。最も多くの紙幅を割かれた明代の悪名高い宦官、
ほかにも色々読んでいるし取り寄せ中のものもあるのですが、今のところはこんな感じで。「子不語堂~」の第三章は
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