第7話 調べもの&検索のコツについての話
前述したように、私は「花旦綺羅演戯」執筆開始前は京劇についてほとんど知りませんでした。そもそもは「中華後宮ものと宝塚を組み合わせてみよう」→「中国の演劇って言ったら京劇だよね!」という安直極まりない発想だったので……。
今回は、それなりにそれっぽい(そうあって欲しい)描写ができるようになるまでの資料収集の過程を振り返ってみようかと思います。既にやってるよ、という方もいらっしゃるでしょうが、ひとつの例として……。京劇に限らず、中華ものに限らず、執筆にあたっての調べものの参考になると良いです。
1.地元図書館のHPで「京劇」と検索、出てきた本を片っ端から取り寄せる。
2.巻末等の参考文献のうち、読めそうなもの&入手可能なものを取り寄せる。
→最寄り図書館は正直言って規模としてはさほど……ですが、区内の別館からの取り寄せも可能なので、意外と求めていたものがあったりします。この手の文献が予約待ちであるケースは稀なこともあり、概ね数日以内に取り寄せ完了の連絡がもらえるので大変重宝しております。お住いの場所によって事情は様々でしょうが、市民の権利として活用するのをお勧めします。
3.読んだ文献の中から、執筆に使えそうな単語を片っ端からメモする。
→第2話で説明した京劇の
4.上述の単語をWeb上で検索する。
→ネット上の情報を信じるなんて……と思われる方もいるでしょうし、私も丸呑みにするつもりはありません。Wikipedia等のことではなく、Web上で参照可能な論文の発掘を想定しています。もちろん一般向けの書籍よりも読解のハードルは高いのですが、専門性が高いだけに貴重な情報を得られる可能性があります。
また、画像検索と動画検索も非常に有用です。
今回のテーマが京劇で、現代にも残っている芸能だからこそ動画等も豊富にあるだろうと予想したからではありますが、京劇に限らずとも、例えば衣装や建築物についても画像・動画検索でイメージを把握することは有用ではないかと思います。もちろん、衣装の場合は華流ドラマやコスプレで脚色が入ったものではないか? 等に注意する必要はあるのですが。
動画についても、京劇における所作(
ほかにも、紫禁城等の史跡を映したドキュメンタリーや旅行者の記録は宮殿の描写の参考になりますし、衣装の着用のし方や着用して動いているところ(再現の試みが結構あるので)は純粋に眼福の資料だし、
また、参考文献をあるていど読んでから画像・動画検索することで、文字情報として得た知識の解像度を上げることができるのではないかと思います。「これはどういうものなのか」を視覚や聴覚でも把握することで、文章の描写の厚みも増すのではないか、と。
5.簡体字でも検索する。
当然のことながら中国語のサイトが出てきます。日本語のものよりもう少し深いことが書いてあったりするので、(もちろん鵜呑みにはできないですが)参考になります。衣装の名称や官職名等、新しい単語を知ることができれば再度日本語で検索して新たな文献に辿り着ける可能性もありますしね。中華ものに限らず、ファンタジーものを書く時には英語で検索してみるのも良いと思います。
ワンクリックで繁体字←→簡体字を変換してくれるツールもあるので、中国語を知らなくても繁体字での表記を知ることは簡単だと思います。あるいは、PCの設定で入力言語に中国語を追加すればピンイン入力から変換することもできますね(ピンイン入力できる人は当然ご承知のことでしょうが……)。
中国語の読解については、私は独学で勉強したことがあるので機械翻訳と併せればどうにか、という感じですね。機械翻訳、しれっと文をすっ飛ばしたりするのであんまり信用はおけないのですが、幸い日本人は漢字が分かるので、あるていど意味を取ることは可能ではないかと思います。というか機械翻訳は参考ていどに、一字ずつ意味を追ったほうが分かるかも……。これは、私が多少なりとも中国語を知っているからでもあるのでしょうが。とにかく、知見を広げる役に立つことは間違いないので、外国語の読解に挑戦してみるのも良いのではないでしょうか。
という感じで、様々な方面から情報収集に励んでいますよ、という話でした。ほかに良い方法があればコメントで教えていただけると嬉しいです!
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