第16話 京劇と武術の話
今回は、京劇と武術の関係について語ってみます。というのも、拙作中で「
以前紹介した
京劇について学んだ際に大いに首を捻ったことのひとつが、「官憲に追われることになった役者が、立ち回りの技を駆使して反撃/逃亡した」というエピソードがちょいちょい見えることでした。京劇役者の身体能力の高さは目を瞠るものがあるとして、相手も武装したり訓練を受けたりした兵なりではないのか、と。かなり近代の例だと、日本軍への協力を拒んだことで拉致&暴行されかけた
とはいえ、京劇の発展の歴史を紐解いても、武術と非常に近いところから発祥しているのもまた事実ではあるようです。こちらも「京劇 「政治の国」の俳優群像」の記述ですが、中国演劇の激しい立ち回りのルーツは、追儺の儀式で行われる武技に遡る、とのこと。すなわち、儺神に扮した男が仮面を帯びて武器を振るって鬼を払う、という厄払いの儀礼です。また、辛亥革命で貴族などに仕えていた用心棒が職を失い、役者に転向したことで立ち回りの水準が大幅に上がった、という記述もありました。武術と舞台上の立ち回りとで、筋肉の使い方など何かしら通じるところはある、ということなのかもしれません。
ちなみに、本記事を先行で近況ノートに上げたところ、「バレリーナと夫婦喧嘩して夫が負けた」というエピソードを紹介していただき、「なので納得できた」というコメントもいただいたので、作者が心配するほど眉唾な描写ではなかったのかもしれません! そういえば、某格闘漫画でもバレエ由来の脚力で戦うキャラがいましたしね! フィクションで娯楽なので、これくらいハッタリを効かせても良いのかもしれません。
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