続アトリエの女

紅色吐息(べにいろといき)

由美子探偵社

私の古い知り合いに姫コンパニオン派遣会社の社長がいる。

私がお客様の接待で宴会を開くときは、その派遣会社からお気に入りのコンパニオンを派遣してもらうのだが、その中に由美子という養護施設出の25才の女の子がいる。この子は身寄りのない孤独な子で、同情して経済的に助けたことが有る。それがまずかったのか、それ以来私を甘くみたのか、由美子は時々私にお金を借りに来るようになったのだ。うかつに人を助けると、後で当てにされるようになるのだ。


その日の朝も由美子からLAINが入った。

〚相談したい事があって、至急会いたいです。〛


又金貸してくれかな・・

由美子が金に困っているとしても、たいがい1万円か2万円の事で私からすればどおって金額でも無いのだが・・私の善意に付け込まれている気がして気持ちが良く無いのだ。

しかし助けて置きながら急に邪険にするのも気が引ける。こうなれば乗り掛かった舟で会ってやるしかあるまい。私は気が進まぬまま待ち合わせのカフェに行った。


「久しぶりだね、どうしたの急に・・」


「私、今年になってから探偵事務所に勤務してるんです。」


「由美ちゃんが探偵になったの!?」


「おもに電話番と受付なんですけどね。て言うか、真面目に昼間の仕事をしないと水商売のバイトだけでは生活ができないですから。たまたま募集してたので応募したんです。」


「それで、今日はどうしたの?相談って何?」


「社長さんが行方不明なんですよお・・」


「社長って、 探偵事務所の社長さん?」


「はい、3日も会社に来ないし携帯も繋がらないんですよ。絶対変ですよね。」


「確かに変だよねえ・・」


「どうしたら良いのでしょう?捜索願を出すべきですかねえ。」


「そうだなあ・・ 社長さんはお金に行き詰まってなかったかなあ。それで社長が逃げてしまうって、よくある事だからね。」


「それは無いです。 私、事務所のキャッシュカード扱ってるんですけど残高は180万円ほどありますから・・」


「なるほど・・」

180万円の現金を残して社長がトンズラする事はないだろう。


「最近、社長さんは、何の仕事をしてたの?」


「家出人の捜索です。建設会社の息子さんの捜索をしてたんです。」


「家出人の捜索中に本人が行方不明になったのか?」


これは何かありそうだなと私は思った。

「由美ちゃんさあ・・ 私も協力するから社長さんの足取りを追ってみようよ。」


「石原さんと私で、ですか?」


「うん・・ 建築会社の息子の捜索をすれば、社長さんの足取りを追えると思うんだ。」


私たちは足立建設の息子の捜索依頼書と捜索依頼者アンケート用紙に記載されているデータを元に、息子の足取りを追うことにしたのだった。


「由美子ちゃん・・どこまで捜索は進んでいたの?」


「足立建設の息子さんは美術部で油絵を描いていて、誰かに絵を習っていたらしいんです。その事を両親は知らないんですよ、変でしょう? それでその相手が誰なのかを調べるために美術部御用達の画材屋さんに聞き込みに行くと言ってました。私はそこまでしか聞いてないんですよね。」


「そうか、それじゃあ先ずその画材屋に行ってみようよ。


私たちは早速、画材屋に行くために車をはしらせた。

途中ぽつぽつと降りだした雨が、画材屋に着いた時には本格的な雨になっていた。

画材屋には駐車場が無く、少し離れた駐車場から画材屋まで、雨の中を走る羽目になった。


「あらあら! 随分濡れましたね。駐車場が離れてて、ごめんなさいね。」そう言って店の主人はタオルを差し出してくれた。

私たちは社長の事や足立君の事をそれとなく聞いてみた。


「ええ、その男の人は知ってますよ。静江さんの油絵を随分気に入られましてね・・ それで私が静江さんを紹介したんです。」


「そうですか、その静江さんの携帯とか住所とか分かりますか?」


「住所は知らないんですけど、静江さんの電話番号なら分かります、あっそうそう、静江さんのアトリエに絵を見に行かれたんですよ。」


「そうですか・・そのアトリエってどこに有るんですか?」


「知りませんねえ、あまり来られる方でもないんですよね。」


私たちは静江さんの携帯番号に電話を掛けてみたが電波の届かない場所にいるようでよ繋がらなかった。

店を出るといつの間にか雨は上がり、所々に星が光っていた。


社長は静江のアトリエに行った。それは間違いないようだ。

静江と言うのは趣味で油絵を描いている素人画家だ。その静江に足立君が絵を習っていたのかも知れない。


「固定電話だとナビで検索できるんだけど、携帯じゃあな。」


「わざと電源を切っているのでしょうか?」


「どうかなあ・・ともかく相手が電話に出なければどうしようもないな・・」



「でも、絵が上手い素人画家ですよね・・インスタグラムとか使ってるんじゃあないでしょうか。きっと絵を発表してますよ。インスタとかピンタレストってそういう人が作品を発表する場になっていますから。」


「ほうー、そうなんだ。でもどうやって検索する?」


「地域名と油絵とsizueで検索すればヒットするかも知れないです。」


探偵事務所に帰ると由美子はパソコンの前に釘付けになった。


「なかなか見つからないね。コーヒーでも入れるよ、飲むだろ?」


そう言って私がコーヒーを入れていると由美子が奇声を上げた。


「有ったー!! 有りましたよ!」


私はコーヒーカップを持つと由美子のそばに行った。


「ほら、この絵! 私、安達君の部屋で見た絵です。安達君の横顔の絵、、」


「なるほど! これが安達君の横顔の絵か。」


「ハンドルネームは、Sizueです。この地域の人みたいですね。」


「なるほど。で次はどうする?」


「まず、私がフォローしますね。それでコメントを入れてみます。」


⇔静枝さんの少年の絵はとても素敵です!。私の近くに素敵な画家さんが居たなんて感激です!⇔


「これで、後は返信待ちですね。もう夜中ですから見るのは明日になるかも・・今日はもう帰りましょう。」

と由美子が言った。


次の日の朝探偵事務所に行くと、もう由美子は出社していて、私を見るなり言った。


「さっき私のコメントに静枝から返信が有りました。見て下さい。」


⇔⇔フォローありがとうございます。趣味で絵を描いているんですよ。少年の絵が気に入って頂けたのですね・・センスの通じる人が近くに居て私も嬉しいです。こちらもフォローしましたのでDMを下さいね。⇔⇔


早速由美子がダイレクトメッセージを送る。


⇔どんな所で絵をお書きですか? 私も油絵を描いているんですよ。宜しければいつか見学したいです⇔


静江はすぐに返信をして来た。


⇔⇔別荘のアトリエで書いてるんですよ・・私と同じ趣味なんですね・・あなたの絵も見てみたいな・・⇔⇔




由美子が直ぐに返信をする。


⇔私はあまり上手くないので・・

でも近々アップしますね・・

別荘のアトリエって、もしかしてセレブ??・・⇔


直ぐに静枝から返信。


⇔⇔中古別荘のアトリエですよ(笑)・・⇔⇔



「乗って来たねえ、由美ちゃん。君もなかなかやるもんだねえ。」


「任せて下さい。後はアトリエの場所が分れば・・」


⇔今度の土曜日に絵を見に行って良いですか?⇔


⇔⇔土曜日なら私が居ますから来てください・・住所を送りますナビで検索してくださいね・・

楽しみにお待ちしています⇔⇔



その日は朝早く由美子と事務所で待ち合わせた。


「いいかい、安達君と社長の事には触れないで、今日は探りを入れてみよう。何が起きているのか分らないからね。」




「そうですね、絵を見せてもらうって事で、そこからあまり外れない事ですよね。」


「足立君や社長の痕跡は無いか・・ 他に仲間とか友達とか、訪問者が居ないか・・ それとなく探ってみようよ。」


「じゃあ、そろそろ出かけますか。今出れば昼ごろには着きますから。」


ナビでルートを検索するとアトリエは山岳地帯の別荘地のはずれにあった。そこはバブル期に開発された広い別荘地で今は放置された別荘が多く、使われている別荘は少なかった。静江はその中の一つを安く買い取ってアトリエにしたのだろう。


別荘に着いてみると白いワゴン車が停まっていて後ろには油絵用のキャンバスが数枚乗っていてた。

別荘の窓のカーテンは開けられていて、室内に人の気配があった。


「由美ちゃん、打ち合わせしたように君が静枝さんのファンで、私は君のパパって事でね。 それじゃ行こう!」



玄関口にボタンがあり、それを押すと静枝らしき女が現れた。


「いらっしゃいませ!お待ちしていたのよ。」


彼女は満面の笑顔で私たちを迎えた。


「はじめまして!私が由美子です。こっちは私のパパです。」


「はじめまして静江です。こちらはお父様ですか?それとも・・」


「あ、どうも、石原と申します。私は・・パパみたいな者ですね(笑)」


「あら!頼もしいパパさんですね(笑) どうぞお入りになって!」


と上品な口調で私たちを招き入れた。




静枝は背の高いスラッとした体形で笑顔が美しい女だ。


中に入ると油絵が壁に何枚も掛かっており、由美子の為に準備をしたのが伺える。近くで摘んできたのだろうか、テーブルには野生の花が綺麗に生けられていた。


由美子が言った。


「こんな素敵な所で絵を描いているんですか。羨ましいです!」


「土日祭日だけなんですけどね・・ 他の日は下界に下りて生活費を稼がなきゃあ(笑)」


話しながら静江は笑顔で相手の目を見る。その笑顔がまぶしいほど美しい。


「下界ではどんなお仕事をされてるんですか?」

と私が聞くと、


「看護師です。でもこの辺は田舎だからお給料が安くって・・ 私も支援してくれるパパさんが欲しいわ(笑)」

と由美子のほうに目をやり、そして話を続けた。


「パパさんと言っても、由美子さんのお父様では無いようね。」

と由美子の目を覗き込み・・


「どんな関係なのかしら? 興味があるわ。」


と私と由美子を見比べた。


由美子が困惑しているので、私が助け舟をだした。




「以前私の会社で秘書をしてくれていましてね。それで信頼関係が出来て・・ とても良い関係だったのですが、変な噂が立ってしまって。それで会社を辞めることになって・・申し訳ないので今でも相談に乗ったり、何かの時には支援しているんです。」


「それじゃあ・・ 愛人って事なのね・・素敵だわ。」


すると由美子が・・


「いえ、なかなか愛人にしてもらえなくって・・」


そう言いながら私の目を意味ありげに見つめた。私は視線をそらして窓の外に目をやった。


「いつも此処にはお一人でいらっしゃるのですか?」


静枝は少し間をおいてからこう答えた。 


「いつも一人なんです。 私は賑やかな所が嫌いで・・ 寂しいぐらいの方が落ち着くんです。 恋人も以前は居たんですが・・  男って付き合うと手が掛かって面倒くさいじゃあ無いですか・・ ね! 由美子さんはどう思います?」

っと由美子に話を振った。


すると由美子真面目な顔でこう言ったのだ。


「そうですよね・・ 余裕が無いと恋愛なんて面倒なだけですね。 お互いに相手に与えるものが無いのに、求め合うんですから、疲れちゃいますよ。」


すると静枝は強く同意してこう言った。


「そうよね!セックスだけの関係なんてうんざりよね。」


そこからは女同士の会話になっていった。



「本当のところ、パパさんとはどんな関係なの? セックスは?」


「無いんですよ・・ 私はあっても良いんですけどね(笑)」


「あら! 誘っちゃえば!?」


「いつもはぐらかされていて・・」


すると静枝は私の方を向いて・・


「パパさん、 はぐらかしたら女性に失礼ですよ!」


いやはや・・


こっちが探らなきゃあいけないのに逆に探られてしまっている。


したたかな女だ。




「ここには私ら以外に来た人は無いのですか?」


「いいえ、来る人は居ますよ。モデルになってくれる子とか、私の絵を見に来る人も居るんです。」


「少年少女の絵が多いようですが、これはモデルが居るんですね。」


「そうなんですよ、私は空想では絵を描かない主義なのでモデルがいます。ここに来てもらうんです。」


すると由美子がこう言った。


「静枝さんの絵は素敵だから見学に来る人は多いでしょうね。」


「いいえ、アトリエまで来る人は多くないんです。年に1回展示会をするんですけどね、ここは交通の便が悪いですから」


「静枝さんぐらい絵が上手だったら教室もやっておられます?」


「いいえ、そういうのは面倒ですから・・ でも1人絵を教えていたことが有るんですよ。」


「今は、その人は習いに来ないのですか?」


「コロナ騒ぎもあって最近来なくなりましたね・・」


これを聞いて由美子が私の目を見た。

私はそっと頷いた。

おそらく安達君の事だろう、


「さあ、由美ちゃんそろそろお邪魔しようか?」


「そうですね、そろそろ暗くなりますからね。静江さん、又お邪魔してもよろしいですか?」


「いつでも歓迎ですよ! でも先にLAINで連絡を下さいね。」




玄関ドアを出ると辺りは夕闇が迫り、ひんやりとした空気に包まれていた。

山の中は直ぐに日が落ちる。しかも街灯が無いので夕方でもかなり暗い。

私は車のエンジンを掛けてライトをつけた。動き出す車を静江が見送っている。


車が揺れるとライトも揺れる・・すると、木々の影も揺れて・まるで木々が踊ってるように見えて不気味だ。

大きい道路に出ると急に見晴らしが開け、下界の町の灯が見下ろせる。


「足立君も社長さんもあの別荘で足取りが消えたんです。絶対あの別荘には何かありますよ!・・。」


「うん、これからどう攻めようか・・」


車は森林地帯を抜けて下界へ降りていく。眼下には美しい町の灯が広がっていた。


「今日は、何か緊張して疲れちゃいました。」


「そうだねえ・・どっかでお茶して帰ろうか?」


「モーテルで?!」


と、からかうように由美子が言う。


「やめろよ、年寄りをからかうなよ・・」

由美子が色っぽい目で私を見ながらフフフと笑う。


市街地に着くと私たちはジョイフルに入って軽い食事と飲み物を注文した。


「静江からは社長と安達君の話は出なかった。何も無いのなら話すはずだから、怪しいな。」


「あの建物は地下室が有りましたよね・・怪しいと思いませんか?」


「思う・・」


「あの中に拉致されてるか、でなければ死んでるか・・ でなかったらあの周辺に埋められていると思うんですよ。」


「考えたくは無いが可能性は有るな・・」


「さっきトイレを借りたでしょう、あの時に気が付いたんです。トイレの横の喚気窓から入れます。」


「そうなの?」


「上の部屋のトイレの換気窓の横に雨樋が縦に通っていますから、あれを伝えば換気窓に入れますよ。じつはさっき、あの小窓のロックを外しておいたんです、」」


「やるねえ。しかしあの窓は小さいだろう?!」


「いいえ、私なら入れます。中から玄関ドアを開けられますよ。」


「そうか、それなら来週の火曜日に出かけようか。平日は来てないと言ってたからな。」



ジョイフルを出ると由美子が寄り添って腕を組んでくる。

私は小娘にからかわれているような気がしてやりにくい。


「由美子ちゃん・・マジで俺とラブホに行く?!」と冗談ぽくやり返すと

「良いよ・・」と真顔で答える。

しかし由美子が相手じゃあ若すぎてその気にならない。


「由美子ちゃんはお金に困って無いの?」


「困って無いよ・・でも社長さんが見つからなかったら、又就職活動になるから。その時は助けて欲しい。お金は返して無いのに図々しいのは分かってるんだけど・・」


「返してもらう気はないから気にしなくて良いよ。」


「私、石原さんの優しさに付け込んでるよね・・」


「だから気にすんなって・・」


「私を愛人にしてよ。」


「若すぎるって・・」


「やだ。こんな関係は嫌だから愛人にしてよ・・」


「馬鹿を言えよ。俺はもうすぐ60なんだぞ。」


「60には見えないよ・・ねえ、恥を欠かさないでよ。」


60ジジイと20代の由美子では絵にもならない。いや私の方が恥ずかしい、しかしここまで来たら後には引けない。私はラブホに続く道の方へ進路を変えた。




火曜日の朝、約束どうり由美子と例のアトリエに出かけた。


車を止めると敷地内を調べて回った。


土盛りは無いか・・


何かが落ちてないか・・


しかし、めぼしい物は何も無かった。


「やっぱり私が中に入るね。」


小柄な由美子は軽々とトイレの換気口から中に入り難なく玄関ドアを開けた。

別荘の中に入ると二人は地下室への階段を下りた。

地下室の入り口ドアのノブを回すとカチッと音を立てて扉が開いた、

部屋の中は真っ暗で何も見えない、私はスイッチを探して壁をまさぐった。スイッチを入れて部屋が明るくなると地下室は天井は低くて、床は全てが土間になっていた。壁には棚が取り付けてあったが、あまり使われてないようだ。


「ほら!あそこ・・ 何か変じゃあないですか?」


由美子の指さす方を見ると、土間を掘り返したようなデコボコした盛り土が有った。


「あれって何か嫌な感じですねえ・・」


「あの奥のは冷凍庫だね。」


「土間のデコボコと大型冷凍庫って、出来過ぎですよね。ホラー映画みたい。」


「ほら! そこにスコップも有るし・・何かやばいなあ・・」


私はスコップを手に取って土を少しどかしてみた。


「これってビニールだろう?」


土の中に何かビニールに包んだ物があるようだ。


「えっ! なあに・・ 何かヤダ!」


と言って由美子が後すざりをする。


私はポッケトナイフを出してビニールの端を切った。


「なんだあ、これは・・ 骨だよ! 何かの骨が埋めてある・・ 」


「骨なのお! 怖いよ!!」


「由美ちゃんは見なくて良いから・・ しかし腐敗臭がしないねえ。」


「骨だけここに埋めたとか・・」


「よし!もう出よう! 骨を確認したらもお良いよ。後は警察の仕事だ。」


私たちは急いで別荘を後にした。しかし、こうなると面倒な事になる。我々は不法侵入しているからだ。


「社長さんには警察に知り合いがいたよね。」


「剣道部の後輩で山本さんです。いちど事務所に来られたことがあるから顔見知りです。」


私たちは警察に着くと社長の友人の山本刑事を訪ね、これまでのいきさつを説明した。



「じゃあ確かに遺体を見つけたんですね。何という事だ、先輩が殺されるなんて。」


「それでですね、見つける為に不法侵入したんですよ。」


「犯罪を確認する為には、他に方法が無かったんですよね。」


「そうですね、証拠が無ければ警察は何も出来ないでしょうし・・」


「緊急避難が適用されるようにしますよ。たぶん大丈夫でしょう。」


「もう警察が現場に着く頃ですから、今日中には全容が分かると思いますよ。」




警察の捜査の結果、大人の遺体が冷蔵庫で発見され、子供の骨が2体見つかったのだった。社長には外傷は無く、毒殺され冷蔵庫に入れられていたのだそうだ。


「冷蔵庫を開けて見なくて、良かったですよね。」


「冷蔵庫で凍り付いた社長を発見していたらと思うとゾッとするねえ。見なくて良かったよ。」


「私、又仕事を探さなきゃあ・・」


「由美子は探偵に向いているように思うんだけどな。事務所の名義変更をして由美子が社長になればいいじゃないか。」


「私一人では嫌だよ。石原さんが一緒にやるんならやっても良いけど。」


「それじゃあ名称も変えようか。由美子探偵社に。」


25歳の由美子を社長にしてジジイの私が社員をやる、これは面白い探偵社になりそうだ。


それから数日後、警察から連絡があり、静江の行方は掴めず、全国に指名手配されたそうだ。



         ***********


(アトリエの女がネットに現れる・・)性暴力担当刑事由美子シリーズ。

https://kakuyomu.jp/works/16817330651329745364/episodes/16817330651435666297

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続アトリエの女 紅色吐息(べにいろといき) @minokkun

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