本作の魅力は、百合的な雰囲気から、タブーへの接近という現代ドラマとファンタジー、そして彼女たちの物語としてではなく、より普遍性ある出来事としても読むことができる、様々な「幅」のある点だろう。それ故に、情景や心情も、多くの読者やその時々の心境に応じて変化するであろうし、また、彼女のような体験をする「きっかけ」は、“橋”という明白な境を持たず、そこかしこに潜んでもいるだろう。