第45話 終わり
白石花がいなくなった。
彼女を探して家を出た。
彼女がいなくなって初めに思ったことは、ヤッておけば良かった、という下世話なことじゃなくて、ちゃんと愛してる、って伝えれば良かったと思った。だけど俺は伝えていた。愛してるっていうキモい言葉じゃなく、お尻を舐めたいっていう言葉に変換して伝えたのだ。
伝わらんかったんかな?
きっと俺の方が彼女の事を好きだった。きっと俺の方が彼女を求めていた。だから白石さんに利用されてもいいと思った。利用されるだけ利用されて捨てられてもいいと思った。
だからこそBランクダンジョンで彼女の両親の仇を討つのを手伝った。殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺人中毒みたいになっても、彼女のためなら頑張れた。
白石さんが大好きだった。
俺には殺した人間に対して憎しみもざまぁも関係なかった。
彼女が好き、その想いだけがあって、これさえ終われば告白して付き合えると思っていた。
利用されて捨てられてもいいと思ったのは、本当はただカッコをつけているだけだった。あるいは彼女も俺のことを好きでいてくれているという確信があったからだった。
白石さんに捨てられたくない。
見苦しく、カッコ悪く思う。
俺のそばから去ってほしくなかった。
ずっと一緒にいてほしかった。
北花田をグルグルと歩き回って夕暮れ。
「ダーリン」と声がした。
大型ショッピングセンターであるダイヤモンドシティの前で白石さんの声が聞こえた。
振り返ると白石さんがいた。
ゆっくりと俺は彼女に近づいて行く。
「どうしたん? そんな慌てて」
と白石さんが言った。
普通だった。
去って行った人間じゃなく、普段の白石さんだった。
「白石さんがおらんようになったから」
そう言った俺の声は震えていた。
「もしかして私のことを探してたん?」
ポクリと俺は頷く。
嬉しそうに白石さんが笑って、俺の腕をギュッと掴んだ。
「お母さんとお父さんに会いたいって言ったやん」
と白石さん。
「?」
「お墓参りに行って来てん。ちゃんと仇討ちしました、って報告しに行ってん」
彼女は俺から去ったわけじゃなかったらしい。
「白石さん」と彼女の名前を呼んだ。
「なに?」
「付き合おっか?」
「えっ? もう私は付き合ってるって思ってた」
「白石さんのこと花って呼んでいい?」
「ええよ」と彼女が言う。
「それじゃあ私もお願いしていい?」
「ええよ」
「帰ったら私のお尻をいっぱい舐めて」
「帰らんでも2人でイチャイチャできるとこあるで」
「どこ?」
俺はスキルの1人部屋を出した。
そして扉を開けた。
2人で部屋に入った。
山田さん家のダンジョン作り お小遣い月3万 @kikakutujimoto
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます