ある二人の兵士のエピソード

クレイG

貧困の農村

ある兵士が、敵国の農村に迷い込んだ。

その農村は貧困に悩まされていて、兵士に助けを求めた。

時期は丁度冬頃……このまま見捨ててしまえば死んでしまうだろう。

兵士は悩んだ。

自分の兵糧を敵国の人間に与えていいものだろうか?

悩みに悩んだ末、男はその村のことを誰にも報告せず、その農村の人々を見捨てた。

その日の夜、男は夢を見た。

夢にはあの農村の者たちが自分を囲っており、口々にこういうのだ。

「何故見捨てた?」

男は恐怖した。

そして後悔した。

(こんな思いをするくらいなら兵糧を与えればよかった。)

そして戦争が終わり、数十年経った今も同じ夢を見るのだ。

……………………………………………………………

似たような体験をした兵士がいた。

その兵士は、極寒の敵地にて飢饉にあったの村に迷い込んでしまった。

その村の人々も彼に助けを求めた。

彼は何も悩まなかった。


彼は自分の隊の隊長に、その事を伝えた。

隊長はこう言った。

「たとえ敵地の人間とて、困った時はお互い様だ。助けてあげなさい。」

男はそれにラジャーと言って、他の兵士達と協力し、自分の国でよく作っていたスープを作って与えた。

そして暖かい毛布も与えた。

その村の人々は兵士達に感謝した。

救世主として、村に石碑が建てられるほどに感謝された。

兵士達は感謝を伝える村人にこう言った。

「その感謝の気持ちを忘れずに、人々に優しく接しなさい。」

そして戦争は終わり、その村は世界一優しい村として有名になった。

その村の中心には、当時彼らを救った兵士たちの名が書かれた石碑と共に、その兵士の像が建てられていたのだった。

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