第2話 脆弱な医療知識

俺「なぁ、なんでウイルスが流行ってるのにマスクをつけてないんだ?」


リューク「なんでって、そもそもマスクってなんだ?もしかしてその顔につけてる布みたいなやつか?」


俺「そうだよ、このマスクってものを付けておくと病気にかかりにくくなるんだ、俺のいた世界だとみんなつけてた」


リューク「う〜んどうも信じられない、顔に布をつけるだけで病気になりにくくなるだなんて想像もできん。お前が異世界から来たのはまだ認めるにしてもそればっかりは認められない、だってウイルスってのは確かに空気中にあるけれどそれは空気が穢れているからで別に布で防いだところで防げるものでもないだろ?教会の連中もそう言ってる」


その言葉を聞いて俺は思った、この世界はどうやらそこまで医療水準が高い訳ではないと言うことを。

確かにこの衛兵の装備は銃ではなくレイピアだし、街の中に井戸があるのも見つけた、さっきこの男は”教会”と言っていたな、だとしたらこの世界ではウイルスに対してまともな対策を取る事ができていないのではないか?


「まぁとりあえず立っててもしょうがないしこの建物の中に入ってくれ、色々と他にも聞かなきゃいけない事もあるしさ」


衛兵がそう言う、いくら今考えた所でしょうがないし、それはまた後で考えるか。

そんな事を考えながら俺は交番思われる西洋風の建物の中に入っていった。

建物の中には上司と思しき髭を生やした屈強な男と同僚と事務員と思われる若い女がいた。


上司「おうリューク、お疲れ様その若い奴は誰だ?」


リューク「あぁ、さっき街の大通りの辺りで困ってそうでしてたので保護しといたんですよ」


上司「でも保護って年でも無いだろ、なんでまた…」


リューク「私も本当か信じてる訳じゃ無いんですけど本人曰く異世界から来たとかって、ほら、なんか変な格好してますし」


事務員「でもリュークくん、顔に布付けてるのと鞄が変わってる以外はそこまでおかしくもないんじゃない?」


リューク「それがおかしいんだよ、もしこの国の家の人間と仮定した時に服装から察するにそれなりの家の人間だ。そんな人間がわざわざこの時間帯に外に出るのか?俺だって出来ればこんな仕事していない。」


事務員「まぁ確かにそうね、家から出るなと言っても完全に家から出ないのは不可能だから大抵数日に1回は食材なりを買うために家から出るけどこの子ぐらいの家なら普通メイドの1人くらいいるもの」


リューク「そう!だから相当変なやつなのか異世界から来たぐらいしか思いつかないだろ?だからここに連れてきたわけ」


上司「なるほどな、でもどうしろと、ここに置いとく訳にも行かんぞ、教会が引取り先になる事が多いけれどこれ以上引き受けてもらえるかわからないという話を聞いたぞ」


リューク「もちろん教会で面倒見てもらうつもりですよ。引き受けてもらえるかは大丈夫です、あそこの神父さんとは仲良いですし、貸しもあるんでどうにかなるかなって」


上司「なるほど、じゃあここで手続きだけすればいいって事だな。そうだな、奥の部屋が空いてるからそこ使え」


リューク「はい!わかりました。さぁ君話は聞いてただろ?今から取り調べみたいな事するからまぁよろしくな」 


そういって俺は奥に案内された。そこにはテーブルと椅子があっていかにも取り調べしますって感じの部屋だ。少し緊張するな…


リューク「じゃあ色々と聞いてくけどまず名前を教えてくれる?」


俺「岸本、岸本真一だ。」


リューク「岸本くんね、この辺だと聞かない名前だけど異世界人って事でOK?」


俺「そうだ、少しは信じる材料になった?」


リューク「まぁな、でも俺はさっきも話したけど信じてるから心配しなくて大丈夫だよ、次に聞くけど年齢を教えてくれる?」


俺「17歳」


リューク「17歳ね、言われた通り保護って年齢じゃ無いな。次に職業について聞くけど、前の世界では何してたの?」


俺「高校二年生だったよ。まぁ職業ってなると学生になるんじゃ無いかな?」


リューク「学生か…格好通り結構いいとこに生まれたんだな。最後に何か特技とかある?ほら今リゲルのせいで人手不足だから特技あれば助かるのよ」


そうだ異世界転移したんだから何かしらの特技でもあるんじゃないか?……あれ?特に俺が知る限りは無いぞ。


俺「特技は…まぁ特にない」


リューク「わかった、特に無い感じね、ああ心配する事ないよ、あったらラッキーぐらいのものだからさ」


俺「そうか…」


なんだか腑に落ちない気もするけどこれでいいか。


リューク「よし、じゃあこれから君を引き取ってもらうために教会まで行くぞ、ついてきて。」


そう言われた後、俺はリュークについて行った。教会まではそれほど遠くはなく、以外とすぐに着いた。教会の中に入ると、そこには神父さんがいた。


神父「おおリューク、よく来たな急に来たけど一体なんの用だ?」


リューク「俺の隣にいる奴をあんたの教会で面倒みて欲しいんだ」


神父「この若いのを?あんたには世話になってるから引き取りたい所だけど、場所がなぁ…祈りが届く範囲に場所が無いからリゲルにかかっても知らないけど大丈夫か?」


リューク「だってよ、どうする?キミの場合祈りとか信じて無さそうだけどこの世界の人間からしたら結構危険な事でさ、かといって他に当てもないけど…どうする?」


俺「まぁ他に当てもないですし大丈夫です。リュークさんも言ってましだけど僕そんなお祈りとか信じる感じじゃ無いですし」


神父「わかった。こっちにその部屋がある。着いてきてくれ」


リューク「だってよ、じゃあな神父さんと仲良くしろよ、またいつか会えたら声でもかけてくれよ」


俺「はい!いろいろとありがとうございました!」


リューク「そんな気にするなよ、これが仕事だからさ、じゃあな」


そう言ってリュークは教会を後にした。


神父「おーい、何してる?ついてこい!」


俺「ごめんなさい!今すぐ行きます」


祈りとか言ってたけど本当に大丈夫なのか?パッと見た感じ神頼みなのか教会の中心にある女神像の辺りに人が集まってるし、あれだと逆にかかりやすくなる。まぁ俺は俺なりの感染対策でもするか。


続く






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謎の新型ウイルスが流行している異世界に転生したけど俺はコロナ禍で得た知識を使ってこのウイルスから異世界を救う ナンシャル @Nancialplan

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