謎の新型ウイルスが流行している異世界に転生したけど俺はコロナ禍で得た知識を使ってこのウイルスから異世界を救う
ナンシャル
第1話 ウイルスの足音と異世界転生
俺の名前は岸本真一、東北の田舎町に住む普通の高校二年生だ。俺は今登校中だ、今日は雪が降ってるもんだからいつものペースで登校しようとすると遅刻するし早く学校まで行かな…
「おーいそこのあんた、危ないぞ」
後ろから誰かに声をかけられた。
「え、?なんだ」
そう言った次の瞬間、空から雪が降ってきた、そして目の前が暗くなり、地面に倒れた。
…はっ!?どうやら気を失っていたらしい、そしてさっきまで雪が降っていたのに妙に暖かい、病院にでも運ばれたのか?そう思って目を開けて立ち上がって瞬間、俺は自分の目を疑った。
目の前に広がる景色は病院でも、見慣れた通学路でもない、それこそ”中世ヨーロッパ”と言う言葉が似合うような、そんな景色が広がっていた。そして…
「誰一人として街に居ない」
自然と声に出た、そしてこれは比喩でも、オーバーリアクションでもなんでもない文字通り誰一人として街に居ないのである。
なんとなくここが日本、少なくとも俺の知ってる所ではない事はわかった、だがこの誰一人として居ない状況はどう説明する?建物を見てもここがもう既に滅んだ街では無いことはわかる、生活の跡があるのだ。
とりあえず立ち止まってても仕方ないので街を探索してみる事にした、雪に巻き込まれた影響からか少しフラフラとするがどうにか気合いを入れて歩く、移動し始めたら早速井戸を見つけた、いつでも水を汲める状態になっていて喉が渇いた時に困らない事を安心するのと同時にこの街、もっと言えば転生先のこの世界の技術水準はそこまで高くないのだろうなと思った、そんな事を考えながら散策していると街の中心であろう場所に着いた、そして何やら掲示板のような物があるのを見つけた。
「それを見れば何かわかるかも知れない」
そう思い掲示板に近づく、そうすると掲示板には以下のような事が記されていた『新型感染症拡大につき感染防止対策実施中』その文言を見て俺は思い出した。
そう、『新型コロナウイルス感染症』を。
2019年末中華人民共和国湖北省武漢市にて発見されたこの新型ウイルスの脅威は中国に留まらず2月1日には初の日本国内における感染者が、同年3月11日にはWHOがパンデミック宣言をするなどし、日本においてもダイヤモンドプリンス号、大規模クラスター、マスクの転売など、1年振り返ってみるだけでさまざまな事があったもののワクチンの開発などもあり今現在は改善に向かって動き出している。
しかし、未だにこの新型ウイルスを”完全”に根絶する事は出来ていない、そしてこの『新型感染症拡大につき感染防止対策実施中』と言う文言は今でこそ見かける機会は数年前よりも減ったけれど、コロナを象徴しても良いといったレベルで見かけた文である、もちろんこの世界における新型感染症はコロナの事ではないだろうし、またコロナとは性質も変わるだろうから対策の方法も変わるとは思うのだが何にせよこれで街に人が居ない理由がわかった、しかし…
「これからどうしよう?」
街に人が居ない理由もわかった、元の世界に帰ろうにも方法は謎、さっぱりやる事が無くなってしまったのだ、そんな事を悩んでいる矢先に紺色の制服の様な服装をして、腰の辺りにはレイピアの様な剣を付けてる警察…いや衛兵と思しき若い男に声をかけられた。
「君!?そこで何してるの!」
この世界の住民がコロナ初期の時と同じ価値観を持っているのであれば当然だ、街が封鎖されている時にこんな街のど真ん中に突っ立って掲示板を見ているなんて頭がおかしい。
「いや、ほんと信じてくれるかわからないけど俺は異世界から来たんです…」
それから俺は衛兵らしき男にここまでの経緯を説明した、衛兵は信用してくれないのだろうか話半分ではあったが最後まで話を聞いてくれた。
「まぁとにかくその元の世界とやらに帰るあても無く、これから行く当てもないから何をしているのかと聞かれてもどうしようもないと…」
衛兵の反応は無難と言えば無難、むしろ俺の話をここまで信じてくれて助かった。
「はい、これから俺どうすれば良いですかね?」
衛兵に聞く、少し困った顔をして、一瞬の間があった後どうにか言葉を捻り出したのか、衛兵は答えた。
「とりあえず俺に付いてきてくれ、そこからどうにか出来ないのか考えてみる」
助かった、まずそう思ったこれでとりあえず死ぬ事は無くなったのでは無いのかと思った
俺は衛兵に付いて行く事にした。
俺が衛兵に付いていくと、衛兵の方から俺についていろいろと聞いてきた。
「そういえば君は確か異世界から来たんだろ?掲示板を見てたから分かるとは思うけどこの世界?では今リゲルウイルスって病気が流行ってるんだけど君の世界でも似たような事があった?」
「はい、コロナウイルスって病気が流行ってました。というかまだ流行ってますよ、初めてコロナが発見されてから2年ぐらい経ってますしもういちいち気にしてたら仕方ないって感じで世間の空気感としてはもう終わったような感じですが」
「流行ってるのに気にしないのか?それがどうしても分からん、病気になるのは怖く無いのか?」
「ワクチンってのが作られたからです、この世界にあるのかわかりませんがこれをコロナにかかる前に打っておけばかかってもそこまで思い症状にはならないんですよ」
「ワクチン?確かにそんなもの聞いた事もないな、でももしそんなものがあるんだったらそりゃ気にしなくもなるな、それは君がいた国でだけ使われてたの?ここの国はネスク共和国っていってこの世界でも発達してる国なんだけど色んな国と交易してるし、当然中にはそこまで発展していない国もある。もし君のいた国だけでワクチンが使われてるんだったら結局他の国はこうやってみんなが家の中にいるままだろ?」
「いや、俺の居た国だけじゃなくて他の国でもワクチンは使われてましたよ。ただ俺の居た国は先進国って言われる発達した国でそこまで発達してない途上国って国ではワクチンを手にいれるのに結構苦労してるって聞きます」
「なるほどなぁ〜ま、お互いこのウイルスが終息するまで頑張りましょうや」
そんな事を話していると俺の世界の交番にあたるであろう建物に着いた、多分ここで色々と話す事になるのだろうげど、その前に会った時から気になっている事を聞こうと思う
「なぁ、なんでウイルスが流行ってるのにマスクをつけてないんだ?」
続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます