閑話 勇者の誕生


 突然だが。

 

 彼ら……どこにでもいるような高校生仲良し4人組は異世界召喚された。

 

 そう……異世界あるあるの勇者として。

 

 なぜ彼ら4人組がこの世界に異世界召喚されたかという事態を説明するには、少し時間を振り返る必要がある。

 

 ついでに東雲永遠からの視点で見たほうがわかりやすいだろうからそっち視点にしておこう。

 

 それではスターート!!






 

「みんなおはよう」

 

「「「おはよう」」」

 

 僕はいつも通り同じ高校に通っている仲良し組に挨拶した。

 

「昨日の見た動画なんだけどさ、結構面白いんよ」

 

 ただ何も変わらない。

 

 平凡で変哲もない日々。

 

――「変化は突然現れる」――

 

――「出よ、ここに4人の勇者」――


 ――「異世界より舞いて」――

 

――「この世界を救う者たちよ」――

 

 その言葉が急に聞こえると同時に眩しい光が降りかかり僕の意識は飛んでいった。






 

 

 僕の意識が戻る。

 

 は!!

 

 ここはー……どこだ!?

 

 僕は意識が戻ったが一体なぜ飛んだのか、今いる場所がどこなのか。

 

 事態が急すぎて理解することが不可能だった。

 

 一体……何が起きたんだ、僕の身に。


 何もわからないが身体に急激な変化が起こった感覚が残っている。

 

 僕は自分の記憶に問いただして思い出そうとする。

 

 えーと確か、僕は今日もいつも通り高校で仲良し四人組で話していたハズ……。

 

 学校のクラスでいつもの時間に会って前日、家で見た面白い動画のことを話そうとして……。

 

 それで話してたら急に直視できないほどの光が変な声と一緒に降りかかってきたな。


 なんて言っていたっけ。


 まっ、別になんでもいいか。

 

 そのあと、光が落ち着いてきたなーって思ったから目を開けてこの城のなかにいると……。

 

 えっ!?

 

 うん、考えてもやっぱり全然わからん!!

 

 んー、ほんとに理解ができない。


 そこで漫画やアニメ好きな僕はふと思いついてしまった。

 

 もしかして、これは異世界召喚をされたのではないかと。


 だが、まあ落ち着け。

 

 こうゆう慌ててる時ほどまわりを見た方がいいな。


 完全に自分のことしか考えていなかった。

 

 まわりを見たら、話してた友達全員でここにいる。

 

 3人もやはりあまり状況が理解できず、驚いている様子だ。


 外も今の位置から覗ける限り覗いてみる。


 街並みを覗けたが、なんだかヨーロッパを彷彿させるな。

 

 向きをかえ前方を見ると玉座らしきものがある。


 なんてゴージャスなんだ。

 

 そこに絶対一番偉いであろう王様らしき人が座っている。

 

 そしてその周りには、高貴な服を着た人たちがいる。

 

 いかにも金を持っていそうな人たちだ。

 

 そう考えていたら、金を持ってそうな人のなかの一人が話し始めた。

 

「顔をあげよ、私が貴殿らを召喚した者でありこの国の宰相であり、この黄金たる玉座に座るはこの国の王である!!」

 

 今話した人はどうやらこの国の宰相のようだ。

 

 赤のカーペット先に大きい席があったのはやっぱり玉座で座ってる人は王様か。

 

 てか……王様か。


 まあ、そうだよな。


 誰でもあたる予想があたった。


 だけどより、どんな言葉使って話せばいいかわからなくなってて困る。

 

 王様とか、お偉い様とかと会うことは僕の人生においては絶対にないことだと思っていたからなんか嬉しいな。

 

 この状況自体も、絶対にないと思っていたけど。

 

 まさか自分の空想が現実になるとはね。


 これほどわくわくするものはない。

 

 そんなこんな考えていたら宰相といってた人が話を続けた。

 

「それでは前置きここまでにして、確認としてそれぞれの勇者様のお名前を呼ばさせていただきます。狭間新様、如月美優様、佐藤凛様、東雲永遠様で合っているでしょうか」

 

「「「「あ、合っています」」」」

 

 急に合ってるか聞かれて全員が焦って答えた。

 

 初対面なはずなんだけど言われた名前が合ってる、なぜかね。

 

 なんでなんだろう、名前言ってないから知らないはずなのに僕たちの名前のことわかったんだろう。

 

「それでは、私の方から話を続けさせていただきます」

 

「「「「はい」」」」

 

――――――――宰相の話を聞きまくり中―――――――

 

 話をたくさん聞き終わったから要約をすると。

 

 僕たち、元ただの高校生4人組はこの世界で国民の生活を苦しめている魔界に住まう最強の悪魔である魔王を倒すため、勇者として召喚された。

 

 その魔王を倒すのには、この国家の国力では無理があるため僕たち勇者に頼ったとのこと。

 

 魔王のことではまだ情報はないが、幹部達の情報はわずかながらではあるが所有していること。


 やっぱりこの国を助けてくれってことか。

 

 召喚されて名前を知られていたのは、召喚士が召喚された者の情報が見ることができるらしい。


 そこで僕たちの名前の情報が見ることができたとのことだ。


 言われてないだけで見られたものもあるかもな。


 考えただけでゾッとするね。

 

 僕たちはあくまでも勇者であるが冒険者のパーティとして活動すること。


 そして最後に異世界から来たことは隠すこと。


 とりあえず今言えることはこれぐらいらしい。


 だいぶ聞いたがまた後で話がありそうだ。

 

 話が長すぎて聞くのが大変だった。

 



 

 

「それでは、一人ずつ私が勇者様方の異能を確認させていただきます。はじめに狭間(はざま)新(しん)様、自分が放った斬撃が自由に操作することのできる異能""切断波操""、如月(きさらぎ)美優(みゆう)様、自分や仲間の様々なところに治癒を施せる異能""高度回復""、佐藤(さとう)凛(りん)様、様々な方向へ自由に放てる異能""鎖""、最後に……」

 

 みんなの異能が発表されていく。

 

 それぞれがすごそうな異能だ。


 「よしきた」


 「嬉しいですわ」


 「結構良さげなスキルだな」

 

 みんな自分の異能がすごいとわかっておおはしゃぎしている。


 そりゃいいのとわかればわくわくするよね。

 

 ようやく、次は自分の番だな。

 

 えっと……僕の異能はなんだろう。

 

 なんか、攻撃的でかっこいいのがこないかな。

 

 きたら嬉しいなと考えていた矢先に聞こえたのは、地球にある異世界転生での不遇なキャラクターになると思わせるそんなものだった。

 

「最後に……東雲(しののめ)永遠(とわ)様の異能は磁気に影響与えず与えられないものを付与する異能、""不磁気""でございます」

 

「な、なに!?役立たずではないか!!意味がわからん能力じゃ!!」

 

 宰相が僕の異能を言った後、王様が言葉を続けた。

 

 僕の異能の内容が言われるやいなや大騒ぎになった。

 

 僕は最初こそ理解に困ったがすぐにわかった。

 

 この場にいる多くの人に失望されたのが痛いほどわかった。

 

 そう、どうやら……僕の異能は無能のようだ……。

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神立英雄譚〜異能""死の呪いがデメリットでしかないんだが〜 @sikusu

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