第5話 僕の異能
――気絶して1日後――
――公爵家内の病院――
――主人公ことガンビアは目覚めた――
右手の小指からそして全身へゆっくりと動き始める。
「……あ、」
気分が今まで一番晴れた状態だ。
「ガンビア!起きたか!」
起きたのを気づいてかチャックが声をかけてくれた。
……もしかしてずっといてくれたのか?
「……チャック?俺……どうかしてたのか?」
「覚えていないのか……まあ、無理もない。おまえはガドさんに心を読み取られる時……二人で一緒に急に気絶したんだ」
「……気絶」
思った以上にすごいことになっていたらしいが、それに比べては僕の体はおかしいほど良好だった。
「あのあと騒ぎになって大変だったんだぞ」
「……そうなのか。そういえばガドさんは?」
「大丈夫だったぞ。……今から言うことは俺の感想なんだが、ガドさんが先に起きて騒ぎから大騒ぎになった気がした」
「……なんでなんだ?」
「それはわからないけど……、ガドさんが起き上がったあと俺は別室に行かされたんだ……」
……別室に行かされたか。
それは確かに怪しいな……。
「……なるほど、そうだったのか」
「俺たちの状況も少し変わるかもな」
ごくりと……僕は唾を飲んだ。
その時、突然扉が開きガドさんが現れ言う……。
「ガンビア様!体がお戻りになられたようですね。安心しました!気絶させるような行為をしてしまい、誠に申し訳ございませんでした……!」
ガドさんが急に頭を深々と下げて謝ってきた。
異能で気絶させたことへの謝罪だろうか。
「ガドさん!そんな頭を上げてください!」
「本当に……申し訳ございませんでした!」
正直言って……少し怒っていたんだが……。
ここまで言われたら許すしかないなと思ってしまうな。
「……はい。お気持ちは受け取ります。ですので、もう謝るのはやめてください」
「……これ以上謝るのも失礼ですね。かしこまりました。ありがとうございます」
よかった。
謝るのをやめてくれた。
たしか……僕が気絶した理由って、ガドさんが異能を使ったからだよな。
「ガドさん、僕のことをのぞいて調べると言っていましたが……、その結果はどうでした?」
何を言われるかな。
結構すごいことがわかったりして……。
「……ガンビア様、その件ですが……。誠に失礼ながら箝口令が敷かれたため、たとえご本人であってもその内容を伝えることはできません」
「え??」
僕は伝えることができないと言われて少し腹が立った。
箝口令?
……知らねーよ。
本人にも伝えられない情報ってなんだよ。
そう心の中で怒っていると……。
「ガンビア様、多少ではありますが伝えられることもございます」
なんだ……。
全部何も言われずに終わると思った。
少しでも、まあ言われないよりかはマシだな。
「よかったです。それは一体なんですか?」
「ガンビア様の異能です」
……マジか。
とうとう自分の異能がわかる日が来たんだな。
異能言えて何が言えないのだろう……。
「……異能の名前は""死の呪い""でございます。その概要につきましては……」
「ちょっと待ってください!死の呪いですか?」
慌ててガドさんの話を止めた。
名前を聞くにめちゃめちゃ有能で強そうだな。
でも呪いかー……。
ちょっと不吉だな。
「もうよろしいですか?」
「はい」
話があるから黙ってくれって想いが痛いほど伝わる。
ごめんなさいね……。
「先程言った……ガンビア様の異能""死の呪い""の概要ですが、落ち着いて聞いてくださいね」
さっき話止めちゃったから僕がまた止めないか警戒してるのかな。
大丈夫です。
……もうしません。
反省しました。
「その……、大変お伝えしにくいのですが……。最初にズバッと言いますと……異能""死の呪い""はあなた様に対してデメリットしかないことがわかりました。ガンビア様は今まで体調面であまり優れないことが多かったかと思います。ですが現在の体調は今まで最も良好だとではないでしょうか?」
……デメリットだけ。
僕が憧れていたものはないのか……。
……もう最近嫌なこと続きだな。
……そして、やっぱり気分がいいと感じていたが、ガドさんがどうにかしてくれていたのか……。
「……はい。結構いい調子です。ありがとうございます」
「やはりそうですか……。なぜ、そのような状態になったのかと申しますと、ガンビア様の""死の呪い"'に原因があることがわかったため、公爵家医療班チームの方々が薬を処方してくださり、ガンビアのお体も無事快復といえるとこまでいくことができました」
「「「「「私たちがやりました!!」」」」」
突如として看護服を着た人たちがピースをしながら現れた。
……急すぎてびっくりした。
「あっ、ありがとうございます……」
「「「「「いいってことよ!!」」」」」
最後に言うやいなやこの場を去っていった。
急に出てきて急に戻った。
「ガンビア様申し訳ございません。いつもあのような感じでして……」
……いつもあのテンションなのか。
「ああ……いいですよ、むしろ治してくださり感謝をしています!」
本当にありがたい。
今まで辛いと思っていたものがなくなったんだ。
「そう言ってもらえて幸せです」
「これ以上僕にまだ言えることはありますか?」
「すいませんが、何もございません」
僕は異能がわかっただけでもいいと思い、前を向いて行くことを決めた。
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