第2話自己紹介とその後

 「次、22番の人〜」と、僕を呼んだ声がした。どうやら寝てしまっていたらしい。「はっ、はいっ!22番の佐藤賢司です。昔はスポーツやってました、今は何もしてないんですけど...」僕は少し気まずくなってしまいふと窓を見たら、今さっきまで黒煙は一つだったはずなのに、あちこちに黒煙が上がっていて、とても嫌な感じがした途端、急に先生が廊下に出ていった。僕はとてつもない不安に駆られて窓の外を見ようとした瞬間、1階の正面昇降口が割れるようなものすごい音が体全身に響いたと思ったら、外からたくさんの悲鳴が聞こえてきた。僕は只事ではないと思い外に出ようと考えた時に、先に先生から話があった。

「皆んないったん自己紹介は中止して、屋上にすぐに避難するぞ。自分の荷物を持って、すぐに私に着いてきなさい。」

明らかに焦っている感じがしたが、生徒達を落ち着かせようとしているのが目に見えて、いい教師だなぁと思った。

意外と屋上にはすぐに行けた。というのも僕のクラスの担任が冷静だったらしく、他のクラスの人達は下の階に行ったりと、全員が別々に行動してる中、1年2組、1年7組、2年1組、2年8組、3年3組、3年5組は担任の指示のもと、屋上に向かってきているらしい。と、僕の担任の由紀乃先生が話していた。続々と人が集まってきている中には入学式で見た荻野校長先生もいる。僕は外の様子が気になって、屋上にある手すりを掴み、外の景色を眺めた。

そこから見た景色は地獄だった。

逃げ惑う生徒にたくさんの"人"が襲いかかっているのが見えた。その時だった。

助けてぇと、屋上の扉の向こう側から声が聞こえた。僕はすぐに扉を開けようとしたが、由紀乃先生に止められてしまった。

「何で止めるんですか先生っ!向こうに助けを必要としてる人がいるのにっ!」

「お前もあれを見たんならわかるだろう。あれは人ではない、化け物だ。もし向こうに化け物がたくさんいたらどうする?お前にこの場にいる全員の命を背負えるだけの覚悟はあるのか?ないのなら助けるのはやめておけ。」

「っ、分かりました」

扉の向こう側から何か小さく叫ぶような悲鳴が聞こえた後、グシャッという音が鳴り、静かになった。直後扉がドンドンっと、何かが凄い勢いでぶつかってくる音がして、2分ぐらい経っただろうか、気づけば静かになっていた。

「ふー」

僕は息を整えて、静かに空を見上げた。

(あーあ、これからどうなるんだろうなぁ)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

何かが変わった日 はる坊 @harutoon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ