読んでいて考えていたのは、こんなこと。
何やこれ、わけわからん(※誉め言葉)。
題名だけ見ると、「サンタ? おもちゃ工場? わ~!! しかも”秘密”って単語が興味をくすぐる~!!」だなんて思うでしょう。
でも煽り文を見ると、サンタの赤は返り血の赤だったらしいのです。why(またしても何も知らない秋野さん)。
怒涛の勢いで進む物語。
個性豊か過ぎるキャラクター達。
練りに練られたクリスマスにまつわる設定。
シュールofシュール。
なんか一周回って物語全体がカッコよく思えてきた。
とりあえず、笑いましょう。それで全て解決します。私ももう最後は笑ってました。私はB級映画というものを見たことがないのですが、そんな私でも楽しめました。マジで。
……とにかく、今日もサンタは、子供の笑顔を第一に。
子供の笑顔に影を差す悪党を許さない。
……そこはサンタだと思います。うん。
短編ということで、すぐに読み終わります。出来れば一気読みしてほしい。全力で駆け抜けて笑いましょう。そして議論しましょう。これがサンタか否か!!!!笑
子どもに夢を届けるサンタクロースは、時代が変わって子どもを守る存在になっていた。
赤い服に白いファー、お揃いのナイトキャップ、そして逆三角形の厳ついサングラスをかけたマッチョおじさんは6人のトナカイを連れ、AI搭載の飛行型ユニットソリに乗って、子どもが怪我をするおもちゃを製造する悪質なおもちゃ工場をぶちのめしに向かう。
トナ太郎、ソリ男、モミの木……ハードボイルドすぎる世界観に徹底されたサンタクロース設定がシュールでめちゃくちゃ笑ってしまいました。
でも最後のメリークリスマスにじんわり。子どもにプレゼントを贈るのは、サンタクロースのお仕事ですもんね。作者様のシャレとハードボイルドの使い分けが秀逸すぎて脱帽です。こういう短編大好き。
時節ネタではありますが、いつ読んでも楽しめる内容です。ぜひご一読下さい!
読み終えたあと、レビュータイトルのことをふと思った。
どこかアメリカのB級映画を見ているような爽快さ。このサンタは白いお髭のおじいさん……ではある。ただ大きなお腹を揺らして笑う柔和なおじいさんでは決してない。
マッチョなサンタとマッチョなトナカイたちと、危険な玩具を作る工場と。ソリやもみの木といったクリスマスにはつきものである名前で呼ばれるものたちも共に、サンタは今日も子供たちを危険に晒す玩具を許さない、多分。
個人的にはこの勢い、このどこかシュールな部分、大変楽しく読ませていただいた。
サンタとは何か。子供にプレゼントを配るサンタも、このマッチョなサンタも、子供たちを守護するという点では同じだろう。
ぜひご一読ください。