殺人鬼から吸血鬼になってしまったらしい私はどうすりゃいいですか?

作者 白黒猫

20

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★★★ Excellent!!!

安心のテンプレと思って読んでみたら、これはテンプレじゃない。読めば読むほどに、テンプレ設定を破壊し逸脱してゆく物語は、作者の独創性なのかそれとも狂気か!
良い意味で裏切られてゆく世界観は、気持ちよくもある。テンプレ好きの方もアンチテンプレの方にも、おすすめの作品です!

★★ Very Good!!

 あらすじの簡素な文面から、既にアクセルベタ踏みの狂気が漂っていますが、中身もまた裏切りません。
 主人公が啜り味わう血液の冒涜的な食レポが、のっけから綴られています。それがなんとも流暢な比喩で物語られるので、多少のスプラッタは大丈夫な人でも、ともすれば怪訝な表情をしてしまうかもしれません。
 とはいえ、それは文章の伝達能力が優れていることの証左でもあるため、そんなスプラッタでシュールなブラックコメディを読みたい方には、特記してオススメできる作品でしょう。

 人間から怪物へと転じてしまった主人公が、その境遇を受け入れるか否かで揺り動かされるという作品は数多いですが、本作はその類型を破っている点でも個性的です。

 果たして、それは喜劇と呼ぶべきか、悲劇と呼ぶべきか……。