陰陽師紫乃と妖狐の藤君

(※なんちゃってパロディです)


「ふぅ…お掃除完了。次は誰かしら?」

「「キャー紫乃様カッコいい!」」


水神紫乃、代々陰陽師の家系である水神家の次期当主で長い髪と美しいルックスで町の女性達から大人気な人物だ。


「紫乃様!私の話を聞いて下さい!」

「おっと!大丈夫かしら?」

人混みの中、飛び出してきた女性を受け止める紫乃。


「すっ、すみません!紫乃様は武藤神社を知ってますでしょうか?」

「確か町外れにある神社よね。」

「そうです。私この間神社周辺を散歩してたら、神社に綺麗な藤の花を咲いているのを見つけまして…つい神社の中に入ってしまったのです。」

「え?そこの神社って立ち入り禁止だったはずじゃ…」

「そうなんですけど…だってめちゃくちゃ綺麗な藤棚だったんですよ!つい入って見ちゃうじゃないですか。

うっかり入ったことが原因か、ここ最近めちゃくちゃつまづいたり、転けたりとかなんかケガすることが多くなって…」

「それは気になるわね…」

女性の頭に手をかざす紫乃。


「なんか妖気も感じるし、武藤神社を調べてみましょうか!」

「ありがとうございます!」

「もし妖怪とか居たら危険だから、あなたはココで待っていてちょうだい!」

「はい、紫乃様!お気をつけて!」


·

·


「ここが武藤神社ね…荒れているけど、確かに奥に藤の花が咲いているわね…」

武藤神社に到着した紫乃。


「アタシ、こういう立ち入り禁止とかの場所入るの嫌なのよね…ポリシーに反すると言うか…でもそれだと依頼が解決出来ない…!

うーん、礼儀正しくしてれば多分大丈夫なはず…!」


「…失礼します…」


そう独り言を吐いて、一礼をし、立ち入り禁止のロープをくぐり、鳥居を通りはしっこを歩く紫乃。

「これが例の藤棚ね。確かに綺麗だわ。」

藤棚をじっと眺める紫乃。


「なっ、何?」

藤棚を見ていると、頭上に何か影が通ったのを感じる。


「え?狐?」

藤棚の上に紫色の狐が居るのを見つける紫乃。

「アタシ、疲れて幻覚でも見ているのかしら?普通、狐って黄色よね…」



『君、ボクのことが見えるの?』

狐が紫乃の前に現れる。

「ひぃ!?アタシに喋りかけてる?見えるけど…」

『ホントに!ボクのことが見える人間なんて初めてだ!』

「喜んでいるところ申し訳ないんだけど、あなた数日前に此処に来た女の子知らない?」

『あー居たかもね。』

「その子、此処に来てなんか小さいケガとか増えたらしいんだけど、あなたが関係しているのかしら?」

『確かに呪い(まじない)かけたかも。』

「え?!」

『だって、いきなり入ってきて四角い板で写真撮りまくったんだよ、ビックリするに決まってる』

「それは申し訳なかったわね…彼女の代わりにアタシが謝罪するわ。それで彼女の呪いを解いてくれないかしら?」

綺麗な姿勢でお辞儀をする紫乃。

『別にいいけど…そうだ!ボクのお願い聞いてくれる?』

「アタシに出来ることなら良いわよ」


『じゃあ、ボクと友達になってよ!』

「へ?」


『君の霊力を見た感じ、恐らく陰陽師でしょ。ボク、実は生まれたばっかりの妖狐ですぐにお祓いされるのは嫌…生まれてから、この神社の景色しか見たことないし、外に出て色んなモノを見たいんだ。』

「なるほどね…」


·

·

数年前


父と紫乃が修行終わりに話している。


「いいか、紫乃。

水神家の陰陽師は代々妖怪を仲間にして使役するんだ。それで晴れて一人前の陰陽師という訳だ。」

「お父様…アタシに見つけられるかしら、友達になってくれる子」

「…それはお前次第だ。」


·

·


『えっとね、未熟だけど人の姿にもなれるよ!ホラ!』

人間の姿に化けてみせる妖狐。

「あら!凄いじゃない!」


『だから、どうかな…?ボクと友達になってくれる?』

「えぇ。」

微笑みながら答える紫乃。

「そういえば名乗ってなかったわね、私の名前は水神紫乃。」

『ボク、名前ないんだった…シノ君がつけてよ!』

「名前ね…こういうの苦手なのよね…」

ふと藤の花が目に入る。


「藤の花に囲まれてたし…安直だけど、ふじ…藤!でどうかしら?」

『…うん!よろしくね!』

「こちらこそ」

『あ、いきなり妖が友達になったって言ったら、シノ君の周りの人達ビックリしちゃうよね…

そうだ!その綺麗な扇子!それの中に入らせて!』

「えっ!?」

『これで完璧!これでずっと一緒だよ。何か合ったら気軽に呼び出してね。』


こうして二人は友達になり、数々の依頼や難題をこなす名コンビになるのでした。


·

·


拝啓お父様、お元気ですか?

私は元気です。


先日、依頼先の神社で妖狐のコとお友達になりました。


私は私のやり方で強くなります。


また近い内に実家に帰りますので、よろしくお願いします。


紫乃


---‐------------


Q:藤君が扇子の中に入ったんですが?

A:マンキンのOS的な使役の仕方と思って頂ければ!



[登場人物紹介]

·水神紫乃

陰陽師の家系である水神家の次期当主とされている人物。

現在は父と大喧嘩し実家を出て、陰陽師として仕事を受けたり、なんでも屋みたいなことをして生活をしている。


·武藤藤

武藤神社の藤の花から産まれた妖狐。

実はまだまだ赤ちゃん(笑)成長中。

人間の姿にもなれるが、あまり長時間は変身出来ない。

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