甘い夜

「…綺麗。」

藤が聞き取れない声でボソッと呟く。


「え?藤ちゃん、もしかして痛かった?」

「違う違う。あのね…」


恥ずかしがりながら少しずつ言葉を紡ぐ藤。


「紫乃君の長い髪がね…ぼくの顔に掛かってカーテンみたいで綺麗だなぁ…と」

「流石藤ちゃん、舞台演出家らしい表現ね。」


「それで…こんな紫乃君を見れるのはぼくだけなんだな…と思うと、なんか凄い優越感に浸っちゃって…」


ギュッと藤を抱きしめる紫乃。


「可愛い…可愛い過ぎるわよ、藤ちゃん!」


「紫乃君、く…苦しいよ」

「あら、やだ!ごめんなさい!」


二人の甘い夜はまだまだ続く。


(終)

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