一定の能力はあれど最強ではなく、童話やゲームのような英雄になるには性格が向かず、苦悩や苦痛に塗れても責任感などから歯を食いしばって全力で走り続ける、いつか英雄譚として語られる主人公が好きならすごくオススメです。
このレビューを書いている2024年10月現在、更新が長くストップしているため、ストーリー説明の「いつか報われる」が永遠に来ないかも…と思って泣く今日この頃。報われる日が来てほしい…
以下感想
漫画から入り、最初の方は、よくある最強チート系なのかな?と油断していたところ、主人公の絶望に衝突してしまい、立ち直るところまで読んで自分の気分も元に戻そうとして、取り返しがつかないところにいて、…感情移入型としては、彼ほどの絶望も苦痛も呑み込んだ絶叫の味も、なにもかも経験がなく、感情移入はできないのですが、彼の1番近くにいる彼女の気持ちは痛いほど刺さり、どうにかして報われてほしい、どうにかしてせめて死ぬ時は心穏やかで苦しみなどなくあってほしい、そんな時が訪れてほしい、安堵と喜びで泣きながらお疲れ様、ゆっくりおやすみ、と彼に言える日が来てほしい…
彼のことをルークくんと呼ぶのは抵抗があるのですが、主人公くんと呼ぶのにも抵抗があり、さらには彼のこと、何をしても何を考えてもかなしいのですが、彼が何度も「ルークにならなきゃダメなんだ」「ルークでなきゃいけないんだ」と言い聞かせているのを見る度、ありもしない絶対的な救いを求めてしまいます。例えば時間が巻き戻って、彼は記憶がなく、他の要因によってあのターニングポイントが変わる、といったような。そんなことは起こらないのですが。どうにかなりませんか?
おしつぶされそう。いきぐるしい。むねがつまる。いきもまともにできない。苦しいんです。彼のふとした動作や気持ち、内面描写で、途方に暮れた天涯孤独な迷子のような、この先も立っているだけで痛くて痛くて堪らない道を進まないといけないかのような、まわりすべて真っ黒な果てのない空間で自分の体を抱きしめて、何も変わらないのに目も耳も塞ぎ込んで、何も感じないために何も考えないように必死になっているかのような、そんな感覚を覚えます。どうにかなりませんか?
私はこういう…幸せになってほしい、あるいは死ぬ時は晴れやかであってほしい、穏やかであってほしいと思う主人公が何らかの答えを得て幕を閉じるような、最期がやさしい物語が大好きで、…そのようなさいごがよみたいです…すくいあれ…
追記
他の方のレビュー見て、チラっと狂ってる狂ってないみたいなの遠目(?)で見て、その辺の私の今時点の解釈をメモしときたいな、と思ったので追記。
自分のせいで死んだ彼女の死があって、発狂してしまえれば楽になれるのに、彼女の死があるからこそ狂うに狂えない。
自分が楽になることと、楽になることで失われ忘れられ踏み躙られるものに背を向けられない。
自分のちょっとした過信や驕りで、致命的な喪失と、到底背負いきれない「自分が殺した」好意を向けていた人の死を得て、だからこそ誰よりもルークとして在り、すべてを救わなければならないという一点で潰れて砕け散りそうな精神を繋ぎ止めているように感じました。勘弁してほしい。書いてて泣きそう。どうか彼がすべて成し遂げた先に、安寧がありますように…