黒き蒼天下の零雪ノ姫 · ダンジョン下のヒーターをやめたヒーロー

@HARAMMM

プロローグ 黒百合の花言葉

この作品はフィクションであり、特定の団体、事件、人物とは一切、関係ありません。




*息をしただけで、こごえそうな場所。

雪が降る町。

ロシアのキーロフは、〔魔物モンスター〕と〔冒険者ぼうけんしゃ〕の激しい戦闘で、ほぼ、壊滅かいめつしていた。

とあるギルドに所属しょぞくしている約、300人ほどの〔冒険者〕達が身を寄せ会って、先ほどの戦闘で半壊はんかいしたえきの岩かげに隠れていた。

元はホームだったと思われる更地さらちで、美しい藤色ふじいろひとみとおったような銀髪ぎんぱつを持った美少年が"それ"つぶやいた。

「あー、こりゃ、ヤバイナ.......」

すぐ、となりから美少年びしょうねんと同じく、藤色ふじいろひとみ銀髪ぎんぱつを持った美少女びしょうじょあきれたように言った。

「ふぅ、やれやれ、おとうとながらなさけないぜ。」

美少年びしょうねんが少し眉をひそめ、言った。

「"なさけないぜ"じゃねぇヨ。"あれ"はそんなレベルじゃねーつーノ。今回こんかいこそ、皆、死んじまうかもナ。」

い?こーゆうときこそ、「サブマスター」の君がシャキッとしないと。いつまで弟だからって、あまやかすことは出来ないよ?まわりの皆を見て?皆、真剣しんけんなんだ......きるためにも、すくためにも........」真剣しんけんな顔で美少女がわった瞬間しゅんかん、ちょっとはなれた場所ばしょで、口喧嘩くちげんかの声が聞こえた。

さわらないでくれる?童貞どうていさわられるほど、やすからだじゃないわ。」

「は?さわってねーし。自意識過剰じいしきかじょうじゃね?そもそもってても買わねーよ。」

「ふ、二人ふたりとも、き、緊張感きんちょうかんはも、ったほうが」

あとがあるローブをているクリームいろかみを持った美少女と、ローブを着た美少女に童貞どうていと呼ばれた禍々まがまがしい大鎌おおがまを持ったつのうろこがある少年しょうねん、オロオロと二人をなだめようとしている少女が岩かげで口論こうろんを広げていた。

ローブの美少女、もとい、魔法使まほうつかいの美少女が挑発ちょうはつし始めた。

「私の体は非売品ひばいひんだから、うことは出来できないわ。えたとしてもそれは団長勇者様だけ。おかり?」

すると相対そうたいしていた少年しょうねんかえした。

「さっきったこと矛盾むじゅんしてるよ?あ!そうか!ワリィな!精神年齢せいしんねんれいさいのお前に文章ぶんしょう指摘してきをしても分からないもんな!」

「ふ、二人とも、そのへんにしておきなよ、お、おこられるよ?」

「あなたはんでいて…こまかい事ばかりにしてるとモテないわよ?あら、ごめんなさいね。現在進行形げんざいしんこうけいでモテてなかったわね?

どう てい くん。」

だれモテのクッソ童貞どうていだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

「そこまで言ってないわ?あれ?|自意識過剰?」

「や、やめなってば....ほ、他のみんなに、め、迷惑めいわくだから」

大事だいじたたかいのまえだというのに...フゥーと美少年びしょうねんタメ息いきをもらしながら、実姉じっしであり、このギルドの〔ギルドマスター〕である[勇者ゆうしゃ]に提案ていあんした。

「あいつら以外いがいみんなヘトヘトダ。どうせ、このままだと〔レイド〕も無理むりだろうシ、ちょっと休憩挟きゅうけいはさんで行こウ。」

勇者ゆうしゃ〕が答えた。

「うむ。おとうとながら提案ていあんだ。」

「うん。あと、その口調くちょうウザいからヤメロ。」

「ハイハイ。分かってますって!」

勇者ゆうしゃ〕が何もない空中くうちゅう人差ひとさし指を立て、紋様もんようを描き、ポリゴンのかたまりのような〔ステイタスまど〕を開いた。

そこから、先ほどの戦闘でつかてた〔ギルド〕のメンバー達の〔ステイタスまど〕の〔チャット〕にメッセージを送った。

{1時間休憩じかんきゅうけい!!ここからの指揮権しきけんはサブマスターがにぎる!!!}

そんな能天気のうてんきな[勇者ゆうしゃ]のメッセージをて、〔ギルド〕のメンバー達は苦笑くしょうした。

そして、皆、勘違かんちがいしていた。おもんでいた。

この[ヒーロー]はなくならないと。

この[勇者]はなないと。


永遠えいえんやさしさ』なんてない。かっていながらも、らないり、えないりしてきこと

永遠えいえんしあわせ』なんてない。だれよりもっているはずなのに否定ひていし、こばんできたこと。

だからなのか。それとも、運命うんめいって奴なのか。

あのメッセージがおくられた日、あねは、あねは、あねは、[勇者ゆうしゃ]は死んだ。

いや、[勇者ゆうしゃ]をふくおおくの〔冒険者達ぼうけんしゃたち〕が|死んだ。

   この日、はなさきほこった。





*『ねーねー。なんはな一番好いちばんすき?』

おさなころあねかれたこと

いま耳元みみもとからはなれない質問しつもん

かえしたら

『わたし?わたしは百合ゆりかな?黒百合くろゆり一番好いちばんすきかも!』と答えた。

姉はよく笑う人だった。

よく、ネット漫画まんがに影響され、"浪漫ろまん"をもとめて、ヤンキーになろうとしたり。

なにもない空中くうちゅうに向かって"ステイタスまどぉぉ!!"

さけんだり。

迷惑めいわくあふれたきた災害さいがいで、

それでもやさしかった姉。

世界せかいがゲームのようになって、

みんな、パニックにちて、

いっぱいんで。

それでもやさしさを失わなかったあね

勇者ゆうしゃ]としてかつぎ出され、本当ほんとう自分じぶんが一番怖いこわいくせに、ふるえてるくせに、不器用ぶきよう笑顔えがおで、

『だいじょーぶ。』と言ってくる姉。

でも、もう、もう、もう..........もう、二度にどえない姉。

ねぇ。姉さん。黒百合くろゆり花言葉はなじょとばって知ってる?

黒百合くろゆり花言葉はなことば

              『呪いのろい

                

                               だよ。

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