第15話 謎のゲーマー「サクラフブキ」現る。
夏休み最終日の夜、改は「アニマルファイター」のランクマッチを行っていた。犬氏としてランクに参加しており現在全国ランキングは50位である。
改「これで10連勝。ランクも大分上がって来たし、そろそろ骨のあるやつと戦いたいな。」
マッチングが完了し、新たな対戦相手が現れた。プレイヤー名は「サクラフブキ」と書いてあった。
改「この人が今の全国ランキング1位か。」
改はガルべロスを選択し、ゲームが始まった。相手のキャラはカラス天狗の「グロウ」を選んだ。グロウは遠距離攻撃が得意で団扇で風を起こして攻撃したりする。
改「Play The Game・・・・・・」
ガルベロスはグロウの懐に入り、コンボ攻撃を繰り出した。グロウは近距離攻撃があまり得意ではないため攻略法として懐に入り込むのがセオリーだが、何とグロウも近距離攻撃をし返しだした。
改「(まさか、攻撃を攻撃で返してくるとは・・・・・・グロウの近距離対策はしていない・・・・・・)」
冷静に攻撃を受け流していたが相手のペースにはまってしまい第一ラウンドを落としてしまった。
改「(これは・・・・・・あえて遠距離攻撃勝負か・・・・・・でも、こっちはリーチの攻撃は無い。他に方法は・・・・・・)」
改は第二ラウンド、同じく懐の中に入り込んだ。一見同じようにしているが、ガルベロスの得意分野である近距離攻撃を打ち込むことにした。1ラウンド目の反省を生かし、相手のペースに合わせず自分の攻撃を続けたことにより第2ラウンドは改が取った。
改「(これで第2ラウンドは取れたけど、ファイナルはどうしよう。同じように近距離で行くか?)」
最終ラウンド、グロウは遠距離攻撃を仕掛けてきた。
改「(やっぱ得意攻撃で行くよな。でも、その方が好都合だ。)」
改は遠距離攻撃の一瞬のスキをついて攻撃をかわし、ガルベロスをグロウに近づけさせてコンボ攻撃を決めた。
改「勝った・・・・・・でもギリギリだった。さすが日本一位だな。俺も負けてられないな。」
一方、犬氏に敗れたサクラフブキは・・・・・・机にコントローラーをそっと置いた。
サクラフブキ「(さすが犬氏・・・・・・昔と変わらないプレイスタイル。どうしよう・・・・・・明日学校なのに興奮で眠れなそうね。)」
サクラフブキという名の女性は・・・・・・フフッと笑みをこぼした。
次の日、干支珠高校は新学期を迎えた。新学期早々、都と豪は遅刻して桐谷先生に怒られるお決まりのパターンだが。
寅好先生「桐谷先生が育休に入るため、俺が担任になることになった。そこで今日からこのクラスの新副担任の先生を紹介する。」
生徒からざわめきが起こる。どんな先生なのかその先生は男なのか女なのか。
改「新しい先生か・・・・・・どんな人だろ」
水鳥「さあ。女の人ならかわいい人がいいな。」
改「いや、まだ女の人かわからないだろ。」
寅好先生「じゃあ入ってくれ。枝垂(しだれ)先生」
寅好先生がそう言ってドアを見るが、ドアが開く気配がない。寅好先生がドアを開けると柱ですがりながら眠っている先生を見つけた。
寅好先生「枝垂先生!!」
寅好先生の声で枝垂先生は目を覚ました。
枝垂先生「あ、すいません!昨日眠れなくてついウトウトして・・・・・・」
寅好先生「楽しみすぎて眠れない気持ちは分かるけど初日からこれは幸先不安ですね・・・・・・」
枝垂先生「すみません・・・・・・」
寅好先生の後に付いて枝垂先生が教室に入って来た。リクルートスーツに身を包んだ赤眼鏡に二つに結んだピンク色の髪にたれ目が特徴。身長は160とそこそこ大きい女の先生だった。
枝垂先生「初めまして、今日からこのクラスの副担任になりました。枝垂桜「しだれさくら」です。まだ教師になったばかりの新米ですが皆さんとより良い学校生活を送れるよう全力でサポートしますのでよろしくお願いします。」
女性の先生に男子生徒は歓喜の声が上がる。
改「(桜・・・・・・サクラフブキ・・・・・・)」
と昨日のアニマルファイターの事を思い出した。午前中に学校が終わり、改は都と豪と共にフリーゲの部室に向かっていた。
改「それにしてもお前ら最終日に夏休みの宿題一気にやるとか・・・・・・計画的にやろうとは思えんのか。」
豪「は?ゲームの時間を宿題なんかでつぶせるかよ。俺は短期集中型タイプなんだよ。」
都「アタシも~」
改「ホントお前ら普段仲悪いのにこういうときだけ息ぴったりだよな・・・・・・」
そう話しながら部室に入ると、部長の真里佳、副部長の義治、2年生の並木と理央。そして顧問の寅好先生がいた。そしてもう一人・・・・・・
枝垂先生「犬神くん、それに猿渡くんに猫柳さんも。3人もゲーム部のメンバーだったんですね。」
改「し・・・・・・枝垂先生!?なんでこの部室に?」
寅好先生「彼女をフリーゲの副顧問として入ることになったんだ。」
豪「ソイツって今日入ったばかりだろ。フリーゲに入るほどの経験がないだろ?」
都「配信の経験はあるの?」
枝垂先生「いえ、配信の経験はありません。」
とハハハと笑いながら答えた。
豪「じゃあ何でコイツを・・・・・・」
寅好先生「これは・・・・・・校長の指示だ。」
豪「アイツか・・・・・・」
都「ならしょうがないね。」
改「(なんだ?この二人がすんなり受け入れるなんて。)」
枝垂先生「でも、私ゲームは好きですよ。休日は寝る間を惜しんでやっていますし。」
豪「へーどんなのやってんだ?」
枝垂先生「最近だとアニマルファイターを・・・・・・そうだ!昨日ランクマッチをやった時に「犬氏」と対戦しました。」
「犬氏」の名前を聞いて改が質問をした。
改「あの、枝垂先生・・・・・・どういう名前でやっているんですか?」
枝垂先生「えっ?名前は・・・・・・「サクラフブキ」でやってます。」
豪もその名前を聞いてギョッとした。
豪「それって国内1位のファイター名じゃねえか!あんたホントに「サクラフブキ」なのか?」
枝垂先生「えっと・・・・・・順位のことはあまり分からないですけど・・・・・・」
豪「なら俺と勝負しろ!」
枝垂先生「え!?いきなりですか?」
寅好先生「いいじゃないか?枝垂先生やってみましょうよ。私も気になるしね。国内一位の実力を。」
枝垂先生「寅好先生~!」
枝垂先生と豪のアニマルファイターの1ラウンドのエキシビションマッチを行うことに。豪は猿武、枝垂先生はグロウを選択した。
改「(やっぱり・・・・・・グロウ使いのサクラフブキ・・・・・・)」
ゲームが始まりいつもなら開始と同時に攻撃に入る豪なのだが・・・・・・
治昭「へぇ、豪くん戦闘スタイル変えたんだね。」
豪「勝つための選択っすよ。」
実は豪は改にアニマルファイターのコーチをしてもらっていたのだ。ケンカしながら対戦スタイルを決めながらいつもの猪突猛進スタイルではなく相手の動きを見ながら冷静に戦うスタイルになったのだ。
枝垂先生「・・・・・・。」
枝垂先生はグロウの風攻撃をしたのだが猿武の素早い動きにかわされてしまった。避けた後、猿武の強みを生かすためグロウの懐に潜り込んだ。
豪「(占めた!)」
だが、改だけは昨日の試合を体験して。
改「(もし、本物のサクラフブキなら近距離攻撃で攻撃を返すはず・・・・・・)」
改の予想は的中。猿武の近距離攻撃をグロウの数少ない近距離攻撃を返していた。
豪「くっ・・・・・・」
豪は一度離れて態勢を立て直そうとしたがそれもサクラフブキの作戦通りだった。
枝垂先生「狙い通りです。」
枝垂先生はカチャカチャコントローラーを動かし、得意の遠距離攻撃で完全に枝垂先生のターンだった。結果は枝垂先生の勝利に終わった。
豪「くっそ~流石全国一位は伊達じゃねえな。」
豪は悔しそうにしていたが実力が上の人に負けたのでミャー子に負けたときみたいに暴れたりはしなかった。
枝垂先生「でも、さすが豪樹ですね。もし第2ラウンドがあったら勝てるかどうか分からないな。」
真里佳「だったら次は、うちのエースと対決します?」
真里佳は改に目線を向けた。
改「え・・・・・・俺っすか?」
枝垂先生「えっと・・・・・・カイさんですよね。是非お手合わせを・・・・・・」
改「いや、今日は調子悪いんでまた今度の機会に・・・・・・」
枝垂先生「そうですか・・・・・・残念ですね。」
新たな先生、そしてフリーゲの新たな仲間、枝垂桜先生改め、サクラフブキが加わった。
第15話(完)
干支珠高校ゲーム実況部 白絹照々(しらぎぬてるてる) @shiroteru
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