冬至のあけぼの 🌄

上月くるを

冬至のあけぼの 🌄





 小さな屋根を濡らす雨音に目覚めたら午前三時三十三分のゾロ目だった。(笑)

『ラジオ深夜便』をつけると「今日の花はポインセチアです」男声が紹介している。


 南国なら数メートルに伸びる、れっきとした樹木だが、日本では鉢植え専用だと。

 花ことばは「祝福する」で、孚が花のように見えるクリスマスカラーの植物だと。


 つづいてのニュースでは、もう十二分に聞き飽きた感のある東京五輪汚職の続報。

 組織委員会の費用報告が実際の三分の一だったとか(怒)官民揃って貉どもめが。


 


      📻




 このあとは、NHKに委嘱されているらしい素人リポーターの「列島だより」。

 どの声もこの声も甲高く、張りきり過ぎのお国自慢は苦手なのでスイッチoff。


 で、ベッドに入ったまま、さあ、どうする? 橙子さん、自分に問いかける。

 このまま緊張感のない会をつづけるか、それとも年末でひと区切りとするか。


 昨夜のうちに答えを出しておいたが、本当にそれでいいのか、念には念をと。

 三十回を迎えたオンライン句会だが、昨今のマンネリ化は如何ともしがたい。


 ことに昨日〆切の投句一覧のクォリティの低さには、すっと気持ちが冷えた。

 全員に高い創作意欲は望まないが、未発表作品の原則ぐらいは守って欲しい。

 



      🌔




 顔を合わせない(=率直な批評を聞かずに済む)オンラインの利便性が裏目に出たのか、回を重ねるごとに「俳句への敬意」という基本スタンスが薄らいで来ていた。


 文芸全般を畏敬する橙子さんにとっては堪えがたい事態だったが、意識して淡々と事務局業務に徹するよう努めて来た……が、昨日の投句レベルはあまりに酷かった。


 ひと口に俳句といっても、メンバーそれぞれの環境や立場、考え方の相違がある。

 そうは思うものの、毎回毎回がっかりさせられて、もはや辛抱の限界に来ている。


 やっぱり休会宣言しよう、一部メンバーには別の機会でご一緒すればいいんだし。

 そう決意したら、いつの間にか雨はやんでおり、枕元に街の騒がひたひたと……。




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