第51話 二人の家


後には、何も残らなかった。


「終わった……か」


俺は人間の姿に戻り、地面に立つ。


「見てください、あそこ……」


ミハルが指をさす。その先には、一冊の本があった。


「これは……あいつが持っていた魔導書か」


俺はそれを手に取ると、リリアナに渡す。


「もってけ」

「え……」

「お前の父親が持ってたものだ。リリアナが受け取るべきだろう」

「いえ……私のパパは、パパ一人だけですから」

「……そっか、そうだな」


俺は、リリアナの頭をなでる。


「んっ……」


彼女は、優しく安心したような顔をした。


***


「で、終わったわけ?」

「ああ。お前は何もしてなかったけどな」

「いい事じゃない。私の手を煩わせなくて。まあこれは借りってことにしとくから」


そういってユリスは去っていった。


「借りって何もしてなかったのに……」

「じゃあ、私も行きますね!」

「ミハルちゃんが何とかしてくれて良かったですっ」


ミハルちゃんとアリサちゃんも去っていく。


後には、二人だけが残った。


「……じゃあ、行こうか」

「はいっ!」


俺とリリアナは、手をつないだ。

そして、帰るのだ。俺たちの家に。

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転生したら竜でした!~拾った少女にパパと言われて懐かれてしまった件~ 秋津幻 @sorudo

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