第2話 海王星での出会い
海王星は太陽から程遠い。
海に入れる季節は皆無だった。
しかし50年ほど前に二つの人工太陽ができ、快適な海水浴を楽しめるようになった。
海王星が「惑星のモルディブ」と呼ばれるようになったのは近年だ。
「コロナひとつ」
「3ルフィアか2ドル」
「ルフィアで」
喉を潤し、海岸沿いを歩く。
平和そのものだ。
あと2時間もすれば、夕日が見れる。
「コイン落としましたよ。」
女性に話しかけられる。
長く腰まである髪、パレオが細い脚を強調している。
「50セント?」
「はい。」
「俺のじゃないようだ」
「でもいまさっきポケットのズボンから落ちましたよ。」
「人違いじゃ無いか。」
コインを女性に返そうとすると、身体を密着させてきて耳に囁く。
「何も聞かないで、話を合わせて。あなた狙われてる。」
髪からフワッと香る。危険な香りだ。甘く鼻腔をくすぐる。
「ちょっといいか?」
見知らぬ男が話しかけてきた。
絡まれる理由は無いが、危険な女の言葉を受けて、咄嗟に身構える。
「ここら辺で男を探してる。ちょうど、そう。あんたみたいな男なんだが。」
皆目見当もつかない。
「俺は観光に来ただけの男なんだ。」
「いや、何。俺も細かいところは知らないんだ。女の外見と・・・。」
そう言われた瞬間、女の気配が変わった気がした。
咄嗟に距離をおいて、腰の拳銃に手をかけようとした瞬間。
「合格。」
女、、、、、、、男?
「なんだ、噂の通りの曰く付きの男か。」
「レッドドラゴンねぇ。そんなマフィアがいたことは歴史の研修でやるぐらいだから。相当デカい組織だったんだろうけど。なんだ悪くないなぁ。」
「スパイク・スピーゲル。関係者だ。話がしたい。」
「どこまで信じて疑えばいい。」
「悪かった。俺たちもこんな経験初めてなんだ。」
「まさか、コールドスリープなんてね。不確かな延命治療の生き残りとのご対面てとこもすごいけど。いや、まあいいや。俺たちは関係者だって話は伝わってるかな。俺たちは007なんて耳触りのいい呼称は持たないけどね。」
「ジェームズ・ボンドって知らないよな。」
「昔の映画。実在した俺たちの先輩たちをモデルにしてるんやけど。」
「今が西暦2953年。まさか地球がなくなるとはね。
昔の人は考えもしなかっただろうさ。
火星もそのうち太陽に飲み込まれる。君の故郷か?」
そういうと名も知らぬ男は腕を組み時計に目をやる。
「冥王星は安全でいいな。」
「第9惑星ね。」
女性だと思っていた男が話し出す。
「そんな呼称もあったな。」
「俺たちはチームになる予定らしい。俺の名はジャン、あいつはアンナ。」
「君の名前もある。」
アンナは腕を組みながら、
「ルネ」
「君の新しい名前だ。」
「美しい。月に似た名前なんて羨ましい。」
「アンナお前の名前も綺麗だろ。ジャンなんてどこにでもある名前だ。」
「ふふふ」
急に女性らしい振る舞いに戻った。
近くを若い男が通ったからだろうか。
「それじゃあ、ルネ。ミッションを共有しよう。」
「その前にもうこんな時間。夜はこれからだけれど。任務は明日の朝からにしましょう。」
アンナは髪をかき上げて、手に持っていたサンダルを履き、コテージの方へ歩いて行った。
「ルネ。僕らもコテージに行くとしよう。そこで軽く話すよ。」
海に目をやると、夕陽が沈むところだった。
何が起こるのか。
まあ、俺の人生そんなものか。
ため息を一つ付き、コテージに向かうことにした。
カウボーイビバップ00 黒猫chiva @ayanoiro
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