足掻くだけ足掻いて


 ……死亡時キャラ消滅。それは、どんなプレイヤーでも地獄のような縛りだろう。


 ウッソやん……私クラスメイトに誘われただけだぞ……? こんなの、どうすればいいんだ……。


 だが、ここで思い出す。


 これ、ゲームじゃん。


 足掻くだけ足掻いて、キャラ消えた時はその時ってことにすれば……うん、別に私ガチ勢目指すわけじゃないしこれでいっか。


 ……そう思い、背後を振り向いた瞬間だった。


『ハイウルフ LV11』

「え」


 えーっと……これ勝てなくね? え? 早速詰み!? 流石に嫌なんだけど!?


「ッ、やるしか……!!」

 

 私は慌てて短剣を抜き――。


「!?」


 直後、狼がとんでもない速さでこちらに飛びついてきた。


 なんとか横に躱したが、これはヤバい。レベル10の差はやはり高い。


 だけど、これくらいの速さなら何とか――。


「ここだっ!」


 再度飛ばしてくる飛び掛かりを最小限の動きで避け、横を通過したところを剣で切りつける。


 レベル差はとんでもないが、それでも狼はダメージを受けたようで少し狼狽えているようだ。


 だが……やはり、これは完全に具が悪い。少なくとも、これを後20回近く狙わないとだめだろう。

 

 直後、今度は高く飛びあがり上から爪で切り裂こうとしてきた。


 だが、これは……。


「好都合……!」


 私は背後にステップを踏み、着地の隙をつき前に足を踏み出す。そして、狼の顔を上から踏みつけ背中に剣を突き立てた。


 MMO慣れはしていないが、こういった攻撃パターンの分析は得意なのだ。


 ……だから、PvPはすっごい苦手です……はい。


 おっと、今はそんなのどうでもいっか。


『ユニークモンスターの単独討伐を確認しました。レベルが4上昇しました』

「ユニークモンスター……特殊個体みたいな感じだっけ」


 一度町に戻り、ベンチに座ってからインベントリから取り出したチュートリアルブックを再度手に取る。そして、私はユニークモンスターとやらについてしっかりと調べなおすことにするのだった。


『レア装備:貴狼の剣を獲得しました』

『レア装備:貴狼の鎧を獲得しました』


 訂正! 装備見よう!!

 

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え? 私だけリスポーンないんですか? @byakuya-botti

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