え? 私だけリスポーンないんですか?

@byakuya-botti

理不尽の極みッ……!!


 私は海鳴響。身体能力がイカれてることを除けば、ごくごく普通のただの女子小学生だ。


 ……まぁ、もうすぐ2学期も終わるし、私は6年生だから後数か月経てば中学生になってちゃうけどね。


 勉強の成績は普通、声も容姿もそこまで良いわけではない私だが、友達はそこそこいるため割と今の生活には満足している。


 そんな私だが、最近気になっているゲームが今日配信開始したためちょっとだけご機嫌だ。


 最近流行っているVRMMO系列のゲームなんだけど、リア友もこのゲームをやるらしく釣られて買った、といった感じだ。


 ただ、私もこのゲームを楽しみにしていた、ということは否定できないだろう。


 何故なら、私は常にこのゲームの情報を追っかけしていたからだ。


 おかげさまで事前情報は全て把握、ちゃんとデマかどうかの確認も念入りにしている。


 さて、ちょうど家に帰ってきたところですし、さっそく遊んでみますか!


 ……というわけで、さっそくゲームにINしちゃいましょー!


 ◇ ◇ ◇


『初めまして響様! 私、ナビゲーターのMSKと申します! 早速ですが、アバターは1から作りますか? 現実の姿をもとにしますか?』


 わぁ、ナビゲーターがすっごい陽キャだ。びっくり。……あ、アバターの話だっけ。えーっと……。


「現実の姿をもとにしてください」

『わっかりましたー! それでは、チュートリアルブックはインベントリに入れさせていただきましたので、ご健闘をー!』

「えちょま、チュートリアル終わるの早すぎn」


 目を覚ますと、私は町の中にポツリと立っていた。


 手元を見るが、チュートリアルブックとやらが1冊のみ。


「えぇ……こんな雑に始まるんだ……」


 とりあえずチュートリアルブックを参考に読み進め、ステータスやインベントリなどの開き方を調べる。……町のど真ん中で。


 30分ほど読んだ後、とりあえず人の目にさらされないような場所に移動する。静かな森の中、ここならあの町からも近いし、なんとかなるだろう。


「というわけで、ステータス!」


 ステータスブックには『念じて口に出せ』、などと雑にしか書かれていなかったが、今回に関してはその説明だけで十分だ。さて、私のステータスは……。


 ??? Lv1 Hp16/16 MP12/12 ATK4+1 DEF4 INT3 MND4 AGL4 LUK0

 ステータスポイント20 スキルポイント20

 デメリットスキル『絶死ノ試練』

 死亡時キャラ消滅

 装備:初心者用剣 ATK+1

 

「え、なにこれ……死亡時……キャラ消滅!?」


 ……悲鳴のような私の声が、静かな森にただただ木霊したのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る