相反するもの

@Ciel_714

第1話




「生きづらいってこういうことか」





 最近世の中では"男女共同参画"だの"ジェンダーレス"だのと謳われ、社会全体を人間の多様化に対応させようとしている。


 、、嬉しい。この世界には様々な人がいることをたくさんの人が知ってくれて、自分達が少しでも生きやすいように、大多数と同じ生活が保障されるように考えてくれる。でも、少数派であることは変わらない。簡単に世の中の見る目が変わるわけでもない。どんなに頑張ったところで、私達は異質な存在なんだという自覚を持ちながら生活する毎日。そんな日々に、ふと、生きづらさを感じてしまう。



(、、まだ寝れるか〜。)


 アラームで目を開けてはスマホのタイマーをセットし、開けてはセットしを繰り返す。何度寝したかわからないが、ようやく起きて遮光カーテンを開け、レースカーテンの隙間からそっと外を覗く。

「え、雪降ってる。」

喜びとも悲嘆とも言えない声で一言漏らし、せかせかと身支度を始める。顔を洗って、髪を濡らして乾かしたら、前日に録画しておいたドラマを見ながら朝ご飯を食べる。ドラマを見ることに集中しすぎて、その後のメイク、ヘアセット、その他諸々の準備を超特急で済ませてバタバタと家を出るのがいつものこと。階段を降りて、アパートを出る直前にハンカチを忘れたことに気がついて部屋に戻る。クローゼットからハンカチを取り出し、ジーパンの右ポケットに入れる。これで大丈夫。と思い、また階段を降り始めて、雪用のブーツではなくスニーカーを履いていることに気がついてまた戻る。やっとの思いで大学へ行き、教室に入ると、そこには私の好きな人がいる。

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