第52話 3人目!
そして翌朝、俺とケインは朝早いにも関わらず、日の出とともにお城を出てすぐそばの通路を歩いていた。
「アラン~、もうちょっと寝かせてくれね~かな。知ってると思うけど俺、朝弱いんだって~」
「何言ってるんだよケイン、昨日君の方からアリアの様子を見に行くって言ってたじゃないか」
俺たちは今、アリアの様子を見るために、朝早くから外へと出ている。
「それはそうだけどさ~、だからってこんなに早くに行かなくたっていいじゃないか」
「だめだよケイン、今アリアの体は非常に弱っているんだからさ、またケインの治療が必要かもしれないよ」
俺たちはそんなことをいいながら、アメリアの家の前へと到着する。
「おーいアメリア、様子を見に来てやったぞ~」
俺は眠い目をこすりながらアメリアの家の扉をノックする。
すると、
「ドタドタドタッ!!」
奥の方から勢いのある足音が鳴り響く。
「ガチャ...あ、おはようございます救世主様、ケイン様」
そして玄関の扉が開くと、そこに立っていたのは身だしなみの整った礼儀正しそうなメイドさんと、
「はぁ、はぁ、二人ともおはようございます」
部屋から走ってきたのか、寝間着姿のアメリアだった。
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「ケイン様、昨日はアリアにどんなことをなさったのですか?」
アメリアが寝間着からいつも通りの騎士団の服装に着替えると、俺たち3人はアリアの部屋へと集まる。
昨日、俺たちが帰った後のアメリアはというと、夜中もずっとアリアの部屋でアリアの様子を見ていたらしく、朝に俺たちがこの家を訪れるまで寝落ちをしてしまっていたらしい。
そして現在のアリアというと、とても落ち着いた様子でぐっすりと眠っている。
これだけを見ると、昨日まで病気で苦しんでいたなど誰も信じないだろう。
「ねぇ、これ死んでるわけじゃないよね?」
「縁起でもないこと言わないでくださいっ!!」
自分で治療を行ったうえ、魔素の流れを読める俺としてはアリアが生きていることは重々承知なのだが、あまりの静けさに思わず俺は冗談を含めてそう聞いてみる。
「まぁ見た目は全然大丈夫そうだけど、果たして中身はっと...」
俺は昨日のようにアリアの体に手を乗せ、“サーチ”の魔法を使ってアリアの体を隅々まで調べる。
「おっ、問題ないみたいだな。あとは体力が回復するのを気長に待つだけだな」
「ほ、本当なのですか!?」
アメリアは俺のその言葉に非常に敏感に反応する。
まぁ、無理もない、はたから見ればアリアは昨日まで生きるか死ぬかの瀬戸際みたいな状態だったのだから。
「大丈夫だってさ、よかったねアメリア」
「ケ、ケイン様....本当にありがとうございます」
アメリアはアランの言葉の直後、涙を浮かべながらそう言って頭を下げてくる。
「はっはっは、もっと俺を讃えてもいいんだぜ~」
「ケイン、そういう時はもうちょっと謙虚であろうよ...」
そんな俺たちの会話により、この空間には暖かい空気が流れるのだが、
「...それでアメリア、一件落着したことだし、今一度確認しておきたいことがあるんだけど...」
俺のそんな突発的な言葉により、少し真面目な空気が流れ始める。
そして俺は満を持したかのように、ゆっくりとこう尋ねる。
「結局、アメリアは俺たちの旅についてくるのか、こないのか?」
その俺の質問は、場の空気は一気に静まり返らせた。
客観的に見れば、アメリアの懸念点がなくなったので、快く来てくれるような流れなのだが、なんてったってこの話の舞台がこんな世界である。
もともと行きたくなかったのにも関わらず天命という胸糞悪い制度のせいで行かされそうな状況という可能性も十分に考えられる。
そのためこの機会に今一度確認しておきたい。
「そ、それは...」
しかしアメリアとしては俺の急な質問により、そう簡単に口を開こうとはしない。
「まぁ、俺としてはアリアもまだ本調子ではないだろうから、ここでアリアの様子を見てもらっても全然かまわないぜ、なぁアラン?」
「そうだよアメリア、自分のしたいようにしなよ。僕たちは君の意見を尊重する」
俺たちはアメリアに強制と思われないように、そう言ってアメリアの意思で決めるように促す。
「わ、私は...」
しかし、そんな急に決めきれないのかしばらくの間何もない沈黙が流れ、俺としてもまた明日にでも聞こうかなと思っていると、
「ついてきてあげてよ、お姉ちゃん...」
今までと違う方向から聞いたことないような声が聞こえてくる。
俺はとっさにその声の方へ顔を向けると、
「ア、アリア!」
そこにいたのはベッドから起き上がっていた、アリアの姿だった。
自由だと思っていた異世界なのに、神とやらのせいで前より縛られた生活を強いられそうです えとはん @etohan
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