亡き恋人の愛した竜胆に執着する主人公。愛と狂気の狭間で見る幻想は徐々に現実を侵食して行き……ラスト、竜胆の花のように青い空と、雪のように降り積もる灰のコントラストが鮮やかです。
最愛の彼女は失われ、そして彼女は言葉の通りに……。ただ悲しみに沈むだけではなく、ある種常軌を逸した悲しみ方をするというのは、それだけ彼女占めていた部分が大きいからと言えるのか。彼と、リンドウと。怪物となったのは果たしてどちらだったのだろう。ある意味で人間の狂気というものは、その心を怪物に変えるのかもしれない。怪物を愛して、怪物に成り果てる。それ彼にとっては本望だったのかもしれない。その灰すらも受け止めて、彼はもう後戻りはできないのだろうか。ぜひご一読ください。
病により最愛の彼女を亡くした主人公は、青いリンドウを忘れ形見として生きていくことにする。「青いリンドウ」の花言葉は「悲しんでいるあなたを愛する」……その花言葉の通りに物語は進んでいく。 特筆すべきは、主人公が捧げる「彼女」への狂おしいほどの愛と、割と容赦のない……アクセルを踏みっぱなしで道理から逸脱していくかのような描写。「怪獣」に愛を告げるとはこういうことなのかも。