第8話:カモかも?
カモを見つけるのが私の役目だった。アイツは金払いいいから、やりがい“だけ”はあったわ。『あのパーティーに参加すると運が開けるわよ!』なんて胡散臭い噂まで流したりしてね。
そしてそれとは別に、
普通なら銅貨一枚程度の仕事でも、あのしつこい男には金貨三枚で売り付けてやったわ。それでも安い位よ。毎日毎日ベタベタと、あ~気持ち悪い。
手作り弁当? ああ、裏に住んでるババァが『ギルマスに』って毎日持ってくるのよ。ジジババ同士仲いいわね。そのよくわからない物を適当に詰めただけ。
え? 弁当袋にキスマーク? それもババァのでしょ、多分。
そういえば
ギルドにいれば次のカモは勝手に飛び込んでくるし、当分はここでのんびりとやろうかな。
……のんびり、か。
……うん、邪魔よね、
♢
ギルド入口の扉が『ギイィ……』と音を立てて開いた。
「あのう、冒険者ギルドに登録したいのですが……」
「あら、いらっしゃい」
「ここで良いのですよね?」
まだ二十歳になったかどうかくらいで身なりは質素。顏は中の上。私と視線が交わった瞬間目が泳いだのは、経験なしと見ていいわね。
胸の谷間がしっかり見える様に、軽く前かがみになって上目遣い。さくらんぼ君はこれでイチコロ。耳まで真っ赤にしてカワイイじゃない。
「ええ、こちらですわ」
「よ、良かった。田舎から出て来たばかりで、その、何もわからなくて……」
腰の袋がかなり重そう。全部吸い上げれば三年は遊んでいられるかしら。
「ようこそ、冒険者ギルドへ。私、斡旋担当の乃木坂と申しますの。以後お見知りおきを♡」
完
追放しただけなのに。~仕組まれた成り上がり~ 猫鰯 @BulletCats
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