怪異ホラー好きの私が推しまくります!

久しぶりにハイレベルな怪異ホラーを読みました。神隠しに関する物語です。

その海辺の町では、毎年「供物番」が選ばれます。選ばれるのは、神様に取られてしまっても構わないとされた、いわゆる町の「お荷物」になっている少年でした。
ある年、供物番の少年と一緒に、もうひとりの少年が行方不明になりますが……。

ただ「怪異現象が怖い」というだけの物語ではなく、得体の知れないものに魅入られていく人間の闇や孤独に焦点が当てられていたのが、大変興味深く感じられました。

そして、そんな闇を抱えた人たちもまた、時代の流れの一片にしか過ぎないという無情を感じさせられました。

特筆すべき点は、作者様の見事な描写力です。心情描写、情景描写が蔓のように絡み合い、非常に強固な世界観を形成しています。そこに無駄はひとつもありません。

読んで良かったと思える作品でした。
怪異ホラーが好きな人には是非、オススメしたい作品です。