冬と先輩後輩
「もう12月も始まって半分経つッスよ先輩」
「そうだな」
「あっという間に時間が過ぎていったッスね」
「ハロウィンだなんだって騒いでたのにクリスマス目前なんだもんな」
「あ、よかった」
「ん?何が?」
「全部『そうだな』で返されるもんだと思ってたッス」
「俺をなんだと思ってんだ?」
「それはもちろん先輩ッスよ、セ・ン・パ・イ♡」
「ふーん…」
「あれ?反応悪いッスね…」
「寒いからだろ」
「あー、確かに寒いッスね…せーんぱいっ」
「あ?」
「ボクのこと…温めてほしいなぁ?」
「ていっ」
「んひゃ、何するんですか先輩!」
「わかるだろ?」
「わかりたくなたたただだだだだ」
「顔温めてやってんだよ」
「これただのアイアンクローッスウゥゥゥゥゥ!!?」
「しくしくしく………」
「それ口に出して言うやつ初めて見たわ」
「あ、そういうn番煎じの返しはいいんで」
「おう、もうすぐクリスマスだな!!お前に苦しみと死をプレゼントしてやろう!!」
「死苦死苦ってやかまし、あいやこっち来ないで欲しいッス先輩」
「…」
「近寄って来てるッス!?謝るッスから!!ごめんなさいッス」
「…いいだろう」
「チョッロ〜☆」
「よし、これ見ろ」
「え?どっから出したんスか?そのリン………ゴ…」
「ふっ…!!」
「いやいやいやいやいやいやいやいや、え?いや、えぇ?」
「今からお前はこうなります」
「砕くとか握りつぶすとかじゃないじゃん!!指の形に抉れてるッスよ!?」
「はいっ☆」
「あっ」ガシッ
「ていっ☆」
「ぎいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ………!!」
「しくしくしく………」
「どうした?大丈夫か?」
「先輩のせいなんスけどぉ!?」
「古いドアみたいな声出てたな」
「人が出していい声では無いことだけは分かります…」
「ドアノブつけるか」
「どっから出したんスかそのドアノブ」
「どこがいい?」
「いつになく積極的ですねぇ!?ボクのこと狙ってるんスかぁ!?」
「そうだな」
「えっ」
「(命を)狙ってるぞ?」
「顔も相まってただの殺人鬼じゃないッスか…あ、待って待って近づかないで怖い怖い怖い」
「どうした?ドキドキしてるのか?」
「そりゃするッスよ…死神の鎌が首にかかってるんで」
「…」
「先輩?多分面倒になったんでしょうけど無言で脇腹ドアノブで小突くのやめましょう?地味に痛くない微妙な力加減でなにかに目覚めそうなんで」
「それは面白そう」
「先輩?ちょっ、やめ…」
「わかった」
「あ、やめるんスか…」
「なんだその反応は」
「先輩…ボク、もう」
「色々引っかかるからやめよう、お互いに」
「先輩が悪いんスけど??」
「それはまぁ…悪ノリし過ぎたな、すまん」
「貸し1で」
「1万でいいか?」
「ちょっと揺らぎそうだけど、別のことに使うッス!」
「バンジーはやだなぁ…」
「なんでバンジー一択なんスか、芸人の罰ゲームじゃないんスから…」
「じゃあ、わさび寿司か」
「それも違うッス!!」
「まさか…クソ寒い中裸になれと!?」
「なんでやる事が芸人中心の罰ゲームなんスか!?」
「じゃあなんだよ?他にあるのか?」
「すぐに決まらないから貸し1にしたんでしょうに」
「それもそうか、都合がつけばなんでもしてやるよ」
「言質とったッス!!」
「素直に受け取って欲しい…すっごい微妙な気分」
「先輩が言えたことじゃないッスよ〜」
「一本とられたか」
「じゃあ貸し2で」
「ダメに決まってんだろ」
「ケチですねぇ…これだから先輩は…」
「ネチネチすんな」
「このっ、このっ!」
「ペチペチすんな、ってか伝わりづらいな」
「先輩…ボクぅ今日は帰りたくないなぁ?」
「エチエチすんな…エチエチすんなってなんだよ」
「よくそんなに出るッスね」
「色々引っかかるからやめろと言ったのによー」
「これくらいなら全然大丈夫じゃないッスか?」
「貸し打ち消しで」
「消し消しされたッス…」
「消し消しって」
「まぁボクたちはそんなものが無くてもアチアチッスもんね!!」
「貸し作ってたらオチオチ眠れないしな」
「おあとがよろしいようで…」
だべしゃり 〜とある先輩と後輩〜 夜雀。 @kur0sekka
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