だべしゃり 〜とある先輩と後輩〜

ハロウィンと先輩後輩

｢ハッピーハロウィン!!ッス先輩!｣

｢そうだな｣

｢どしたんスか先輩!!ハロウィンッスよ!?｣

｢そうだな｣

｢テンションアゲてくッスよ!!｣

｢そうだな｣

｢ってことでぇ……せーんぱいっ?｣

｢そうだな｣

｢……先輩?｣

｢そうだな｣

｢バニラアイスと言えば｣

｢爽だな｣

｢仏教に帰依して修行する集団、転じて個人のこと｣

｢僧だな｣

｢コーラ無かったのでサイダー買ってきたッス｣

｢ソーダ、な｣

｢いやサイダーはサイダーッスよ｣

｢なんだお前｣

｢いやこんなくだんないことしてる場合じゃないッスよ!!｣

｢なんだようるせえよ帰らせろよ｣

｢見事な三段よ活用｣

｢大体ハロウィンだからなんだってんだ｣

｢いや、ハロウィンッスよ!?そりゃもうお菓子が貰い放題の素敵な…｣

｢変態コスプレ共の集会日だろ｣

｢色んな方面から怒られるッスよ!?｣

｢そうだな…確かに言いすぎた｣

｢そうそう、もっとピュアな…｣

｢タダで菓子をもらいに行くのが当然とかいうガキの情操教育に悪い日だったな｣

｢だからぁ!!｣

｢はい、飴玉｣

｢わぁい、って騙されねぇッスよ!?｣

｢チッ｣

｢なんでそんな不機嫌なんスか………?｣

｢俺の同級生と先輩が『ヤクザのコスプレか?』ってめっちゃ来るんだよ｣

｢ああ…そういえば毎日ハロウィンみたいな顔してるのに割と人望あるッスもんね｣

｢お前も1回埋めたらハロウィン顔になるかね｣

｢ホンットにすんませんしたァ!!｣

｢じゃあ先輩、トリックオアトリート｣

｢さっきあげただろ｣

｢え、先輩の事だからかぼちゃ系のお菓子作ってると思ってたんスけど｣

｢煮付けならあるぞ｣

｢そのでかいタッパーどっから出したんスか?｣

｢…?｣

｢いや『何言ってんだこいつ?』って顔されても｣

｢何言ってんだこいつ?｣

｢口に出さなくても…そもそもなんで煮付けを?｣

｢まぁなんでもいいだろ｣

｢良くは無いと思うんスけど｣

｢じゃあ要らんか｣

｢いやもちろんいただくッスよ!?｣

｢結局食うんかい｣

｢でも廊下で食べるのはちょっと…｣

｢小さいタッパーに分けて持っていきなさい｣

｢あっ、はい｣

｢あと直接カバンに入れたらこぼれる心配があるからビニール袋に入れていきなさい｣

｢ありがとうございまス…｣

｢あ、念の為に割り箸入れておくぞ｣

｢お母さん…!!｣

｢誰がお母さんじゃ｣

｢先輩は言わないんスか?｣

｢何が?｣

｢ボクにトリックオアトリートって｣

｢メスガキムーヴしそうなお前が見えるからやめておこうかな｣

｢なんスかソレ!?どういうイメージなんスか!?｣

｢そういうイメージ｣

｢心外ッス!!｣

｢そう憤慨すんなって｣

｢上手くないッス｣

｢評価を甘めにしても｣

｢甘いのはお菓子だけでいいッス｣

｢うーん飴玉1個｣

｢わぁい、じゃなくてッスね?｣

｢後輩に集る気は無いから大人しく受け取っとけ｣

｢えぇー｣

｢何が不満なんだよ｣

｢せめてイタズラして欲しいッス｣

｢お前は何言ってんの???｣

｢せっかくだしイベント楽しみたいじゃないッスか!!｣

｢楽しみ方間違えてるって言ってんだぞ?｣

｢ほら先輩!!カモン!!｣

｢怖い怖い、ハロウィンのホラー要素そういうのじゃないだろ｣

｢トリックオアトリック!!｣

｢イタズラ一択かよ、というかイベント楽しみたいなら仮装しろよ｣

｢後輩のコスプレなんスよ!!｣

｢コスプレって言わねぇだろうが!!｣

｢先輩は…ヤクザのコスプレッスね｣

｢言いたいことはわかった、貴様に選択をやろう｣

｢先輩?最近可愛い後輩の顔面鷲掴みにし過ぎっすよ?｣

｢Dead or Alive?｣

｢めっちゃネイティブに物騒なことを｣

｢はい時間切れ〜｣

｢うぐおぉぉぉぅぅぅ………!!｣

｢あ、頭が………｣

｢小顔になれるぞ｣

｢頭ごと潰れる勢いッスよ…｣

｢未来も潰えると｣

｢上手くないッス｣

｢辛いねぇ｣

｢先輩の面子が潰れましたね｣

｢お、飴玉1個｣

｢わぁい、って何個持ってんスか?｣

｢たくさん｣

｢そしてどっから出してんスか?｣

｢コレがホントのトリックつってね、はい飴玉1個｣

｢自分に甘いッス…｣