ヒマと先輩後輩
「先輩!!」
「なにっ!?貴様は確かに崖から落ちたはず…!!」
「いやなんのことッスか!?」
「あ、なんだ、お前か」
「めっちゃ目を合わせて言ってたッスよね?」
「ごめん、人違いだったわ」
「その場合確実に誰か崖から落ちてるッスよね!?」
「元気だな、どうした?」
「全力で白を切るよこの先輩…いや、なんなんスかこの茶番は」
「特に意味もないけど」
「えぇ…」
「そんな目で俺を見るな、崖から落とすぞ」
「犯人は先輩じゃないッスか」
「それでえーと…なんでスっけ?」
「知らんが」
「………?」
「首傾げ上目遣いあざとい」
「先輩を堕とそうかと」
「崖から?」
「恋に」
「…吊り橋効果?」
「いや崖で恋に堕とすんじゃなくてッスね!?」
「誰でも落ちると思う」
「崖から落としたい訳じゃないんスけど?」
「故意に落とすんだろ?」
「恋に堕とすんスよ!?」
「そりゃ落ちるだろうよ」
「アン〇ャッシュばりにすれ違ってる気がするッス」
「オチは無いのにな」
「肩が落ちるッス…」
「それでなんの用だったんだ?」
「暇ッス!!」
「は?」
「ヒ・マ・デ・ス!!」
「…は〜ん?」
「なんスか、怖い顔して?あ、それはいつもだったッスね!!」
「…」
「あまりにも暇だったもんで先輩で…先輩と遊びに行こうと思ったんスよ!!どうせヒマッスよね?」
「……」
「可愛い可愛い後輩のボクが先輩と遊びた〜いって言ってるんスから…先輩?」
「………」
「あ、もしかしてボクに見惚れちゃったッスか!?いや〜先輩すら魅了しちゃうボクって罪な後輩…ん?、先輩?その手はなんスか?あ、頭撫でてくれるんスか!?ついに先輩もボクに惚れ…先輩?なんでボクは顔を鷲掴みにされてるんスか?まだ何もしてないッスよね!?なんなら先輩の茶番に付き合ってあげたッスよ!?ねぇ、先輩?考え直すッス…暴力は何も生まないだぁ!?メキッて!!メキッて言ったァ!!今回ほんと何もしてない!!理不尽ッス!!鬼!!悪魔!!顔が!!あ、待って、こめかみグッてしないで、痛くしないで、ねぇ先輩…?うん、めっちゃ笑顔ッスね、そしてずっと喋らないの怖い!!なんで笑顔で後輩女子の顔面引っ掴んで圧力加えてるんスか!?鬼畜ッスよ!?オーケーオーケー、話をするッス先輩。なんでボクはアイアンクローをされてるんスか?………うん、そんなキョトン顔で『そんなことも分からないのか?』って顔で首傾げないで欲しいッス。こんなに文字数多めに喋ってんスから少しくらい喋っても…おやおや、先輩?指に力入ってるッスよ?さながらゆっくり閉じる鉄の処女のように、決して逃れられない蟻地獄のようにいぃぃぃぃっだぁああああいいいぃ!!カッコいいこと言ってるのに途中からなんて空気の読めない先輩め………あ、もうホント勘弁してほしいッス。これ以上は顔が無くなっちゃうッス。ホントに。ふざけすぎましたああぁぁぁ!!」
「しくしく」
「ははっ」
「鬼畜ヤクザめ…」
「もっかい逝っとくか?」
「ナンデモナイッス」
「まったく…」
「へへっ…アニキ…すいやせんッス…」
「なぜ急に三下ムーヴかますんだ」
「先輩が手下には厳しくも優しい親分ムーヴをするからッス」
「長い、3文字」
「かしら」
「ふんっ」
「ぐおおぉぉぉ…!!せかんどあいあんくろぉ……!!」
「俺達は放課後に何してんだろうな…」
「え?この状況で普通に会話始めます?絵面ヤバいッスよ?」
「あっという間に10月だよ、なんもなかったなオイ」
「あの?先輩?手を離しましょ?暴力ふるいながら冷静に話するの止めましょ?」
「今年ももうすぐ終わるぞ後輩、俺以外と遊ばなくていいのか?」
「そッスね、でも今は先輩に掴まれてるので。物理的に」
「楽しくなってきた」
「本当に鬼畜じゃないッスかー!!」
「冗談だ…多分」
「不穏過ぎる!!」
「あー馬鹿やってたら下校時間ッスよ」
「誰のせいだ誰の」
「この時間の半分以上をアイアンクローしてた先輩のせいッス」
「それはそう」
「開き直ッた!?」
「あの時は『長いことよく噛まずに喋ってんなー凄いなーいつまで喋んだろ…せや』って思ってた」
「頭ん中でそんな怖い考えしてたんスか!?」
「………せや」
「今何が決まったんスか!?その手なんスか!?また!?」
「はい、どーん」
「サードがくr…ん?」
「帰るぞー」
「あ、わしゃわしゃしないで、もっとちゃんと撫でて欲しいッス!!」
「やかましい、置いてくぞ」
「もう照れ隠しなんてしなくていいんスよぉ〜!!」
「顔真っ赤のお前が言ってもな…」
「ひぇっ!?…い、いや先輩もこっち見ないじゃないッスか!!ちゃんと目を見てくださいッス」
「………」
「あー!!逃げた!!卑怯者!!ヘタレ!!なんちゃってヤクザ!!あっほんと待って歩くの速いッスよ先輩〜!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます