夏休み明けの先輩と後輩

「あっっっっっっづ!!」

「言わないで欲しいッス先輩…もっと暑くなる…」

「去年こんなだっけか…?」

「多分それ毎年言ってるやつッスよ」

「夏は赤ワインってことか」

「おっと、それ以上の発言は危ないッス」

「ボジョr」

「怖いもの知らずッスか!?」

「何言ってんだ?」

「こっちのセリフッスよ!?」

「俺が怖いものだろうが」

「いやほんと何言ってんスか?」

「そこまで敏感にならなくていいだろうに」

「敏感って…先輩のえっち!!」

「何言ってんだ?」

「こっちのセリフッスよ!?」

「デジャブを感じる!!」

「感じるって…先輩の」

「いやもういいからな!?」


「後輩のせいでもっと暑くなった気がする…」

「先輩のえ」

「もういいっつってんだろ…」

「…先輩」

「今度はなんだ…?」

「暑すぎて死にそうッス」

「そうか、短い間だったけど楽しかったぞ」

「まさかの見殺しッスか!?」

「おう」

「酷いッス!!」

「そんなことよりさ」

「そんなことより!?」

「喉渇かん?」

「あー」

「渇くよな」

「まぁ、渇k」

「そう、渇いたんだよ」

「聞く気がないってことはわかったッス」

「ジュース買ってこい」

「顔とセリフがハマってまスね〜」

「ジャンケンしてお前が負けたら行ってこい」

「まぁそれなら…」

「お前が買ったらお前のも奢ってやるから買ってこい」

「どっちみちボクが行くんじゃないっスか!?」

「はい最初はグー」

「ちょ、まっ、先輩!?」




「この人勝ったのにマジで行かせやがったッス」

「奢っただろ」

「そうッスけど…そうッスけど〜!!」

「暑苦しい」

「酷いッス!!」

「とりあえずサンキュ、釣り銭は取っとけ」

「あ、あざッス…そういえば、ボクが買いに行かなかったらどうしてたんスか?」

「ココって廊下じゃん」

「ッスね」

「金渡しながらジュース買ってきてって言えば誰でも買ってきてくれるんだよ」

「そういうことするから怖がられるのでは?」

「缶コーラって1番美味くね?」

「わかるッス、ペットボトルより美味い気がするッス」

「だよなぁ」

「ッスねぇ」

「…」

「…」

「あー…」

「なんスか?」

「だから夏は余計に怖がられるのか」

「えっ…冗談だと思ってたッス」

「冗談に決まってんじゃん」

「…」

「どしたん」

「この怒りどうしてくれようか…」

「さっきのお釣りと相殺で」

「そこまで考えて…!?」




「あー、先輩」

「なんだ、後輩」

「お釣り貰ってよかったんスか?」

「パシリ代つったろ」

「どっちみちパシらせようとした癖に…」

「負けたから奢った、勝ったら奢らなかったってだけだ」

「そッスか…」

「そうだ…あ、もうねぇなっと」

「うわっ」

「何驚いてんだ?」

「いや急に隣で空き缶捻り潰されたらビックリもするッスよ?」

「次はお前がこうなる番だ」

「パシられてあげたのに!?」




「いつまでここでダラダラするんスか先輩?」

「夏休みが終わるまで」

「もう新学期始まってるッスよ」

「心の夏休みが終わってねぇんだよ」

「意味わかんないこと言ってないで帰るッスよ〜」

「引っ張るな伸びるだろ」

「腕が?」

「ゴム人間か俺は」

「ボクそれ読んでないッス」

「じゃあなんでボケたんだ…?」

「ボク的には餅人間かと」

「お前やっぱ読んでるだろ」

「心の夏休みを終わらせに来た…!!」

「確信犯じゃねぇか!!」





「先輩」

「なんだ」

「ビクともしないんスけど」

「帰りたいなら動かしてみろ」

「ボク一人で帰ったらいいのでは…?」

「お前…天才か…?」

「ほら行くッスよ」

「一人で帰らないんかい」

「可愛いボクはナンパされるので」

「学校一可愛いもんな」

「…」

「わー顔真っ赤、ガチ照れじゃん」

「うっさいッスよ!!」

「痛い痛い、殴るな引っ張るな」

「このっ、なんっ、動かない!!」

「わー顔真っ赤、ガチおこじゃん」

「もぉおおおおおおおおおおおっ!!!」

「愉快だなオイ」

「はぁっはぁっ…なんで動かないんスか?」

「お前が面白いから」

「もうヤダこの先輩…」




「そんなに帰りたいのか」

「え?いや…そうでも…んー?」

「急がなくてもいいだろ」

「まぁ…そッスね」

「だろ?」

「でもここにいる意味もないッスよね」

「さて、暑いし帰るか」

「あっ逃げた!!」

「ばっかお前、戦略的撤退だと思え」

「こっちに委ねられてる…??」

「早く来ないとアイス奢ってやらんぞ」

「はーい、今行くッス〜!!」

「単純だな〜…」




「先輩の奢りに勝る作戦は無いッス、戦略的撤退ッス」

「ただの餌付けとも言う」

「じゃあ先輩のペットになるッス〜」

「奢りはちゃお○ゅ〜るか」

「ボクハコウハイ、オーケー?」

「オーケーオーケー、アーハン?」

「それはなんか違くないッスか?」

「犬用ガム…」

「はいっ、ボクは奴隷ですっ!!」

「売っていい?」

「ボクにどうしろと!?」

「普通にしろよアホンダラ」

「アホンダラとか会話で初めて聞いたッス」

「ダボハゼとかも知ってるけど聞かんよな」

「どういう悪口なんスかね?」

「魚のダボハゼから来てたはずだけど…説明ダルいな」

「そこの君は自分で検索するッスよ!!」

「どこに向かって誰に対して言ってんだお前」


「夏は絶対かき氷的なシャーベット系のアイスが1番美味いと思うんスけど」

「そういうのはまた別でやろう、独断偏見夏のコンビニアイスベスト3」

「学食が絡まないと平和すぎてつまんなくないッスか?」

「腹痛が怖いわ」

「冷たいもの沢山食べたらなんでお腹痛くなるんスかね」

「先入観プラシーボ効果!!」

「絶対違うッスよね?」

「テキトー言ったしな」

「現象は知ってるけどなんでか知らない事っていっぱいあるッスよね〜」

「あるけど今なんも考えたくない」

「確かに」

「アイスうめぇ」

「うめぇッス」




「さて、後輩」

「なんスか、先輩」

「その道は俺ん家なんだが?」

「ボクと先輩の家ッスよね」

「付け足すな、はよ帰るんだろ行くぞ」

「ボクも先輩みたいに耐えてっ、うぉ!?」

「これで運ぶぞ〜」カタニカツギ-

「やっ、こわっ、えっこわっ!!」

「苦しくないか〜?」

「それより山賊運び止めてほしいッス!!せめて横抱きで!!」

「誰が山賊だって?」

「最後まで聞いて欲しいッス!?」

「はいはい」

「はぁ…ビビった…ッスぅ…」

「よっと」オヒメサマダッコ-

「は………?」

「じゃあ行くぞ」

「顔近っ、いや速っ!?ちかっぱや!?」

「ちかっぱやって何やねん」




「到着しました、プリンセス」

「待って今そんなことよりただ吐きそう」

「語尾語尾」

「語尾は吐いた」

「アイデンティティを吐くな」

「お姫様抱っこってされる側も体勢が割とキツイ」

「水で語尾飲み込め」

「ん…ぷはっ、ふぅ…」

「大丈夫か?」

「原因は先輩ッスよねぇ!?」

「お、戻った」

「なんかお詫びくれないと許さないッスよ!!」

「さっきアイス奢ったじゃん?」

「そこまで考えて…!?」

「まぁ、また今度な」

「もう…頼むッスよ?」

「はいはい、んじゃあまたなー」

「また明日ッス先輩〜!!」







「明日って休みじゃね?」

「明日休みだったッス」

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