第5話 授業

授業といっても、大抵は異交に関することや、妖怪とかに関するものだった。まあ、高校の授業はここに来る前に終わってしまったから、仕方ないのだが。でも、一応体育みたいな名目で、体を動かすというか何と言うか、まあキツいのがある…後、異交は世界中にいるから、色んな言語を学んでいる。

「号令。」

「気を付けぇー、礼ー。」

「ありざいましたー。」

歴史の萩元の授業が終わった。

大体の連中は休憩時間に妖怪と親睦を深めようとする。月末の試練のためだ。

「ん…。あ?今何時だ?」

授業中爆睡していた細田が目を覚ましたようだ。

「細田。今日もぐっすりだな。」

「嗚呼…睡眠学習って奴よ。」

「何も覚えてないだろ。内容。」

「大丈夫大丈夫。じゃ、俺は再び睡眠学習に励む。」

そう言って細田はまた寝た。

「ったく…」

細田があの有様だから、俺は間とふれ合うことにした。

「間。」

間はすぐ現われた。

あの仮契約から2週間経った。間は喋れないが、代わりに障子を動かして感情を表す。最初はまじで何が言いたいのかわからなかったが、段々わかってきた。

「…ッ!」

障子を激しく、そして速く動かす。これは嬉しい時。

「俺と契約してくれるよな。」

「…ッ!」

開いた障子を勢いよくタンッと閉める。これは「イエス」。

「そうか。」


南原ナンバラ先生が入ってきた。南原先生は「異交基礎」の先生だ。

少ししてチャイムが鳴ると、軽い世間話してから、授業に入る。

「さて、それぞれの異交について簡単について、簡単に触れてきたけど、今回から一種類はずつ、焦点を当てていくよ。まずは、契約者。メジャーなのはやっぱ君達が目指す妖師だね。」

契約者に妖師・神師・魔師・仏師と種類があるように、他のにも種類がある。

役召者には陰陽師・宿命シュクメイ師、

自能者には呪術師・魔術師、

錬術者は作れるモノによって変わるから、大量に。


授業が終わって、俺は南原先生に聞いてみた。

「南原先生。」

「ん?どうした。」

「先生、仏師や神師は珍しいって言ってましたけど、この学校にいるんですか?先生の中で。」

「んー。俺も今年ここの講師になったばっかだしなー…あ、でも、泥濘先生が何か観音様と契約している仏師だって何かで聞いた気がする。」

「へー。」

「やっぱ神師や仏師は神様や仏様と契約するから、一筋縄ではいかないよね。」

「因みに先生は?」

「俺はね、コイツ。」

そう言うと、先生は妖怪を出した。

「これは…猪…っすか?」

「そう。名前は破戒ハカイ。序列は急。」

「急…」

「でも神間だって中だろ?まだ進化するよ。俺のだって中から進化したんだから。」

「そうなんすか。」

「嗚呼。あ。俺、次の授業あるから。じゃあな。」

「あ、はいッ。」


「よくあんな嘘ついたな。南原。」

教室を出ると、壁に凭れる郷良ゴウラがいた。

「郷良。」

「何が進化して急だ。元から終だろうに。」

「いや、やっぱ先生という立場だから、生徒に希望と勇気を与えなきゃ。」

「希望と勇気って…お前はヒーローか何かかよ。」

「今、界隈はこんな状況だ。ヒーローにはなれるかもしれねぇぜ。」

「…俺は出来るなら、もっと長生きしたいな。」

「そういうの、恰好良く死んじゃうフラグじゃないの。」

「…止めろよ。そういうの。」

「ククッ。」


「今年の若人の調子はどうだ。」

「「ん?」」

「糞みてえな出張のせいで、新入生見れてなかったからな。」

「泥濘…」

「妖師の特待生は注目株ばっかでしょ。」

「まあな。」

異交連合本部副会長の孫、渋谷シブヤ凧千代タコチヨ栗栖クリスヨモギ。突然、妖怪が現われ、妖怪側が一方的に契約したレアケース、大工原ダイクハラ疋夷ソイ落合オチアイ卯螺ウラ。親に捨てられた後、竜に育てられたって言う莫羅バクラ死電シデン。北条影常カゲツネの子孫・北条勁佑ケイスケ。千葉支部長・成田ナリタ甚八ジンパチの息子、成田羅鬼ラキ、そして、識名家の親戚、琉子斎月。

「殆どがやる気が無いっていうことを除けば、完璧なんだけどなー。」

「まあ、大工原と落合に関しては巻き込まれた形だから。」

「どちらかと言えば、ウチらの管理下に置きたいだけだな。」

「可哀想に。」

「ん?」

「どうした、あ。」

「うおっ…」

妖怪が2体現れた。

「この感じ…終だな。侵入者かッ!」

「あ、待てッ。泥濘ッ!」

「あぁ?」

「何だよ、南原。」

泥濘は仕方無さそうに黄金のオーラを放つ、千手観音センジュカンノンの手をひっ込めた。

「アレ、蔬凪ナナギ燬鵺ヒヌエだ。」

「ナナギ?ヒヌエ?」

「嗚呼、すまねぇ。噂の大工原と落合の契約妖怪だ。」

「成程ね。にしても、妖力エグくないか。」

「まあな。」

「つーか、お前ら何でいんだよ。」

蔬凪と燬鵺が目を合わせる。

「追イ払ワレタ。」

「誰に?」

「主ニ。」

「主?嗚呼。大工原達か。」

蔬凪と燬鵺が頷く。

「あ。」

郷良が声を出す。

「どした。」

「前に大工原と落合と、話したんだが、急に一方的に契約してきたせいで、訓練校ココに来る羽目になったから、コイツらのこと、ぶっちゃけ恨んでるらしい。」

「ハハッ…」

俺も泥濘も呆れて何も言えなかった。

「つーか。何でお前らはアイツらと契約したんだよ。」

「…永久契約ッテ知ッテイルカ。」

燬鵺が口を開く。

「永久契約…嗚呼。何か聞いたことあるわ。確か、アレだろ。自分の命を契約代にして、妖怪とかに永久にその契約させるって言う奴。」

「イカニモ。ワシモ蔬凪モソノ契約ニヨッテ主ニ仕エル。」

「へー。よく知ってんな。郷良。」

「お前よりは真面目だからな。」

「でも、最近は行われないよな。」

「嗚呼。元々行われる頻度も少ないから、時代が経つに連れて、その存在すら忘れ去られていったんだ。俺も生で、永久契約の場面を見たことはない。」

「ふぅーん。じゃあ、燬鵺。教えてくれないか、その永久契約について。俺らは異交に関して、色んなことを教える身だ。そういうことも知っといた方が良い。」

「ソウカ。ワカッタ。」

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異交 原田案山子 @hrdream

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